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[高校総体]中国勢の強さを印象付けた米子北の快進撃

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[8.8 全国高校総体決勝 前橋育英 2-0 米子北 橿原公苑陸上競技場]

 今大会のベスト8を振り返ると、関東1、関西2、中国2、九州3という内訳となり、『西高東低』が顕著に表れた大会であった。佐賀東(佐賀)の蒲原昌昭監督は「プリンスリーグで他の九州勢と対戦して、日頃から揉まれているため」と、上位進出の要因を説明。佐賀東の選手たちからは「プリンスリーグ九州の方が、相手のプレッシャーが速いような気がする」という声も聞こえてきた。また、静岡や千葉では、「全国を勝ち抜くよりも県内を勝ち抜く方が難しい」と言われており、県内のひしめく強豪校同士が互いに切磋琢磨してきたことによって、それは全国大会での好成績の呼び水となったのである。

 以前は、一部の限られた地域に見られていた傾向であったが、現在は各地区の強豪が集うプリンスリーグがあり、地域レベルでの活性化が進んでいる。その中で、特筆したいのが中国勢の存在である。昨年度の全国高校選手権での広島皆実(広島)の優勝は記憶に新しいが、近年の高校年代のサッカーでは、広島皆実の他、サンフレッチェ広島ユース(広島)、広島観音(広島)、作陽(岡山)など、中国勢の全国における上位進出が目立っている。

 そして今大会、中国勢では米子北(鳥取)が準優勝を果たした。ブロックを作り、スピードと突破力に長けた2トップで相手を射抜くという明確な戦術を浸透させた城市徳之監督は、「うちは能力が高くないので、運動量が基本」と話していたが、大会優秀選手にも選出された2トップ、谷尾昂也と山本大稀は、なかなか個性的な選手であり、米子北が魅力のないチームだったわけではなかった。
 不運にも山本大稀が準決勝の佐賀東戦で右肩を痛め、決勝戦は万全の調子ではなく、城市監督が語るところの「もうちょっとできたと思う」というのは、正直なところだろう。だが米子北には、全日本ユース(U-18)選手権、選手権と、あと2度全国の舞台でプレーするチャンスが残されている。今度、米子北が全国に出てきた時、もはや彼らは“ダークホース”ではない。レベルの高い中国勢、そして夏の準優勝校として、“優勝候補”の肩書きを背負うことになる。

(取材・文 鈴木潤)
高校サッカー・09全国高校総体特集

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