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[大学MOM49]駒澤大DF伊藤龍(4年)_決勝Gは人生初のFK弾

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[大学サッカーマン・オブ・ザ・マッチ]
[12.23 全日本大学選手権準々決勝 関西学院大 2-3 駒澤大 江戸川]

 背番号5のCBが決めた「人生初」のFK弾が名門・駒澤大を4強へ導いた。2-2で迎えた延長後半2分だ。駒大はMF山崎健太(4年)がドリブルで仕掛けてゴール正面右寄り、PAやや外側の位置でFKを得る。キッカーは後半終了間際に絶好のFKチャンスをフイにしていたCB伊藤龍(4年=F東京U-18)だった。

 「GKが右上を警戒しているようだったので外から巻くボールを蹴った」という伊藤の左足から放たれたボールは壁の外側を巻き、ゴール左隅へと吸い込まれた。右拳を突き上げ、ベンチへ向かって走り出した伊藤はジャンプして渾身のガッツポーズ。ベンチから飛び出したチームメイトたちに手荒い祝福を受けた。

 大学選手権準々決勝の舞台で生まれた劇的な決勝FK弾だが、伊藤によると意外にも公式戦第1号。「(公式戦での)FKでのゴールは生まれて初めてだと思います」と照れ笑いを見せた。中学時代も高校時代にもチームメイトにうまいキッカーたちがいたために直接FKを蹴ることはほとんどなかったという。
 名門・駒澤大でも当然伊藤以上のキッカーはいるはず。だが、レギュラーで左利きということで、最初はダミーでFKのスポットにいた。「左利きの選手がいなかったからたまたま。うまくて蹴っているわけじゃないです」。ただ、少しずつ積み重ねてきた練習の成果でチームの信頼を得てキッカーを任され、この大一番で狙ったところへ決められる精度の高さを披露した。

 今季序盤に右ひざじん帯を全治1~2ヵ月の負傷。ただ「チームが勝てていなかったし、大学最後の年という焦りもあって」3週間で強行復帰した。その影響で痛みも引かず思い通りのプレーのできない苦しいシーズンに。だがリーグ終盤からは「駒大に入ってからできていなかった自分らしいプレーができている」ほどコンディションが向上。この日のDF面に関しては満足していないという伊藤だが、安定したパフォーマンスを発揮し、関西王者を沈める一撃でチームを救った。

 大学ラストの大会。伊藤にはぜひやり遂げて卒業したい目標がある。「優勝して(秋田浩一)監督の笑顔が見たい。今までずっと怒られてきましたから」。この日伊藤のFK弾について「あれはまぐれですね。一生ない、いいシュートだった」と笑顔を見せた指揮官をあと2回勝利で笑顔にさせる。

(取材・文 吉田太郎)

特設:大学選手権09

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