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[高校新人戦]2年生主体の“ユースキラー”も「昨年のことは過去」、桐光学園甘さ捨て再発進:神奈川

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[1.17 神奈川県高校新人大会中央大会2回戦 桐光学園 9-1 有馬 桐光学園G]

 2009年度神奈川県高校サッカー新人大会中央大会2回戦が17日、各地で行われ、昨年の全日本ユース選手権16強の第1シード・桐光学園は1回戦で第4シードの浅野を破った有馬と対戦。後半の7得点などにより9-1で大勝した。

 昨年は2年生レギュラー8人という若いチームながらも全日本ユース(U-18)選手権で日本クラブユース選手権優勝のセレッソ大阪U-18と愛媛FCユースを破り、プリンスリーグ関東1部でも横浜F・マリノスユース(09年全日本ユース選手権優勝)、浦和レッズユース(08年全日本ユース選手権優勝)、三菱養和SCユース(09年全日本ユース選手権4強)を下す“ユース・キラー”ぶりを発揮した桐光学園。10年の公式戦初戦だった16日の湘南戦を7-0で制したチームは、この日も前半からMF高溝竜稀(2年)のゴールで先制すると新主将のFW菅原慶人(2年)が加点し、2点のリードを奪う。だが自陣でボールを失うミスからPAやや外でFKを献上。そのFKを決められ、前半はわずか1点のリードで折り返した。

 課題である積極性に欠ける内容だった前半に佐熊裕和監督は「10点取れなかったら(予定を変更し)試合後に練習する」ことを選手たちに通告。後半だけで8得点を挙げなければならない厳しすぎるノルマだったが、目標を与えられたことでようやく選手たちにエンジンがかかった。高いキープ力を備える中盤を中心に目指しているアクションサッカーはミスもあったが、それでも大型FW田口広也(2年)と10番を背負うMF菅能将也(2年)がいずれも2ゴール。さらに後半の2得点でハットトリックを達成していた菅原主将が試合終了間際にこの日4点目のゴールを決めて9-1とする。ここで試合終了となったが怒涛の攻撃を繰り広げた。
 ただ菅原主将は「今年のチームは言われてからやることが多い。最初から後半の勢いを出さなければいけない」と厳しい表情。選手たちは試合後、黙々とトレーニングに汗を流していた。

 桐光学園は昨年、プリンスリーグ関東1部で高校チーム最上位の5位に入った。そして全日本ユース選手権での16強の成績もほぼ2年生メンバーのみで成し遂げた。今年それ以上の成績が期待されるのは当然だが佐熊監督は「そんなに強くないですよ。昨年もどうして勝てたのかという試合ばかり。プリンスリーグの目標は(上位ではなく1部)残留です」と周りの高評価にも冷静だ。

 選手たちも本命視されて臨んだ昨秋の選手権神奈川県予選決勝で武相に敗れ、鼻を折られた。それだけに油断はなく、モチベーションも高い。菅原主将は「昨年は変に自信を持っている選手がいてチャレンジャー精神を失っていた。全てにおいて甘かった」と振り返る。そして「昨年勝ったからと言って今年勝てるわけではない。昨年はインターハイも選手権も神奈川を獲れなかった。まずはしっかりと神奈川を獲ること。(プリンスリーグや全日本ユースなど好成績を残した)昨年のことは頭にないです」。

 神奈川県選抜の一員として08年の大分国体少年男子で日本一を経験しているGK峯達也(2年)と菅原主将、そのほか大型FW田口ら楽しみな個も多くチーム力は全国レベル。好調だったというFW坂本颯(2年)は左肩脱臼の手術のため戦列を離れているが、本格的なシーズン開幕には間に合いそうだ。新人戦の後は、ジャパンユースサッカースーパーリーグ出場などを経て、3月には隔年で実施しているイタリア遠征でローマやラツィオのユースチームと対戦するなど強化を図る予定。昨年の好成績をすでに過去のことと捉えている桐光学園イレブンは、本格的なシーズン開幕までにわずかに残る「自分たちへの甘さ」を完全に捨て去り、隙のないチームを作り上げる。

<写真>この日4得点の桐光学園・菅原と2得点の管能だが快勝劇にも冷静な表情
(取材・文 吉田太郎)

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