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[高校新人戦]選手権日本一・山梨学院、新チームが5発発進

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[1.23 山梨県高校新人戦2回戦 山梨学院大付 5-1 巨摩 山梨学院G]

 第88回全国高校サッカー選手権で初優勝した山梨学院大付が23日、新チーム初戦となる平成21年度山梨県下高校サッカー新人大会2回戦に登場。巨摩と対戦した山梨学院はFW林憲吾(2年)の3得点など5-1で勝ち、新チームの船出を白星で飾った。

 新生・山梨学院が5発発進だ。新チーム初戦はGK伴野宏実、4バックが右から原直之、関篤志、菅野恭平、諸井孝太、中盤が宮本龍主将と長谷川紫貴のダブルボランチに右MFが上田健太、左MFが堤建太、そして2トップが林、本庄勇人と全て2年生。ベンチ入りの7選手も含めて全て2年生のメンバーで試合に臨んだ。

 ただ自分達、周囲の期待とは裏腹に、この日が新チーム結成後初の対外試合だった山梨学院は立ち上がりから攻撃の意図が合わず、ミスも多い展開。宮本主将は「(自分達の力の)30%しかできなかった。不甲斐ない。自分たちが求めているサッカーができていない」と厳しかった。ただ、新チームを指揮してきた吉永一明ヘッドコーチは「木曜日にシャトルランを行ったり、今週はすごく(練習での負荷を)上げてきた。(疲れもあり)体は重かったはず。でも、うまくいかなくても頑張ろうとする気持ちが強かった。修正しようとする姿勢も見られた。(コンディションの悪い中で)あれだけできたことは評価していい」と納得の表情を浮かべていた。

 先輩たちが日本一を取った後の初戦ということで選手たちのモチベーションは高かった。攻める過程のなかでミスがあり、相手DFを完全に崩すことできない展開が続いたものの、それでも前半11分、敵陣中央で得たFKから素早いリスタート。左サイドでボールを受けた堤が中央へラストパスを送ると、本庄がダイビングヘッドで押し込み、新チーム初得点を奪った。

 22分にはDFラインの背後へ抜け出した林が右足シュートを流し込み2-0。さらに28分には諸井の左CKから林が鮮やかな左足ボレーで沈めて3点のリードを奪う。ただ、ゴールを重ねても選手たちの表情は硬いままだった。自分達のサッカーが思うようにできず、ゴールを喜ぶことができなかったのだ。
 横森巧監督から「力まなくていい。何でも頑張る必要はない」とアドバイスを受けて迎えた後半開始直後には、PA内でボールの処理をもたついた相手DFからターンオーバーした林がこの日3点目のゴール。さらに15分には諸井の左CKを菅野が頭で叩き込む。だがこの後、4人のメンバーを入れ替えた山梨学院だったが再三PAまでボールを運びながら、局面での工夫がなく守備を固める相手の壁を破ることができない。
 圧倒的に攻め込みながら、次の1点を奪うことは最後までかなわず。逆に試合終了直前に右CKから失点したことで選手たちの表情からは完全に笑顔が消えていた。

 試合直後、選手たちはユニフォームのまま、ピッチ横で緊急ミーティング。車座になって意見をぶつけあった。先輩たちが当たり前にやっていたこと、セカンドボールの攻防などで戦えなかったことを反省。横森監督も「もっと失敗してもいいし、もっと冒険心をもっていかないと。きょうは味のないサッカーだった」と試合全体の評価については厳しかった。
 ただ、コーチングスタッフたちは新チームについての高い可能性を口にする。確かに全国選手権で大会優秀選手に選出されたDF関に同じく初Vチームの主力を担った宮本主将が健在。諸井や堤も全国舞台で経験を積んだ。加えて、現在右足甲骨折により離脱中のU-18日本代表候補FW加部未蘭(2年)が戻り、苦しい場面でも頑張ることのできる2年生と、「今後3、4人がメンバーに絡んでくる可能性がある」(横森監督)という大型MF白崎凌兵ら1年生による競争が激しさを増せば、戦力はより充実しそうだ。

 今年1年間、チームは間違いなく県内外のライバルたちの標的とされる。宮本主将は「日本一というプライドを捨て、チャレンジャーとして目標を持ってやらなければダメ。天狗にならず、地に足をつけてやること」と誓った。ただ最終目標は全国高校選手権で4強に入り、再び自分たちの力で国立の舞台に立つことだ。そのためにチーム全員で成長する。1年後、国立での歓喜を目指して、新生・山梨学院がスタートを切った。

<写真>前半22分、山梨学院・林がチーム2点目のゴール
(取材・文 吉田太郎)

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