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[ACL]川崎Fは大雪&気温0.9度で涙。悔し泣きした鄭は「サッカーができない」

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[3.9 ACL第2節 川崎F1-3北京国安 等々力]

 目の前がみえなくなるほどの雪に襲われた。サッカーができる環境じゃない・・・。試合前から降り始めた雪は試合中に吹雪に変わり、ピッチ一面が真っ白に染まった。気温は0.9度。ドイツで雪上でのプレー経験がある稲本潤一でも「ここまではない」というほどの悪環境。当然のことながら川崎フロンターレが標榜する攻撃サッカーはできずに1-3。ACL開幕2連敗という憂き目にあった。

 「ホームの利なんてないよね。こういう状況で、はっきりいってサッカーができなかった。綺麗なサッカーにこだわりすぎ。もっとパワープレーをすればよかった。意思統一ができてなかった」

 FW鄭大世がうなだれた。試合終了後には、悔し涙を流したという。それぐらい、悲しい試合結果、苦しい試合環境だった。試合は、積雪の中でも、川崎Fは最初からロングボールを多用するのではなく、つなげるところはつないでプレーした。たしかに、意外とパスを回せて、ボールを支配することができた。大半の選手が「前半はつなげた」と口にしたほどだった。

 前半37分に先制を許したが、同40分にCKからDF菊地光将がゴールを決めて同点に追いつき、流れが川崎Fに傾きかけた。それもあってか、後半もあえてロングボール戦略を徹底するのではなく、メリハリをつけて-。そんな考えのもとで後半に入ったが“風向き”が変わった。

 後半は前半以上に風が強くなり、それも川崎Fが風下に立たされた。予想以上の“風”。「風下で全然ボールが飛ばなかった」とDF森勇介が嘆けば、日本代表GK川島永嗣も「風も強いし、ボールが飛ばなかった。それも含めてもうちょっと意識してやらないといけなかった」。視界も悪いし、蹴っても思ったところに飛ばない。セカンドボールも拾えない。出足も遅くなり、後手を踏んだ。前半6本だったシュートも後半は1本と、攻めきることができなかった。

 後手後手になる中で、集中力が切れたところでミスを重ね、後半20分、同41分に失点を重ねた。もう少し、雪や風向きを考えて、チームとして意思統一した戦い方ができていれば・・・。そう悔やまれるが、鄭大世は「誰が悪いとこかではない。自分もボールが収まらなかった。でも、みんなが早く切り替えてできればよかった。こういうことができないとタイトルは取れない。その辺がうまいのが鹿島」と下を向いた。

 開幕から0-2、1-3と2連敗。上位2チームがOKとはいえ、予選リーグ突破に暗雲が垂れこめた。昨季は8強で涙を飲んでおり、今年こその思いは強い。

 「自分としては、きょうは引き分けとかじゃなくてよかったと思ってる。負けてよかった。引き分けとかだったら、ズルズル行っていると思う。これで背水の陣になって、みんな目が覚めたと思う」と鄭大世。この苦境から、這い上がることができるか。まだACLは始まったばかりで、あと4試合ある。必ず巻き返して見せる。

<写真>川崎F・FW鄭大世
(取材・文 近藤安弘)

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