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俊輔加入でベンチに"降格"、狩野が意地の一撃

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[3.13 J1第2節 横浜FM3-0湘南 日産ス]

 意地の一撃だ。2-0の後半45分、横浜F・マリノスは途中出場のMF狩野健太がダメ押しのミドル弾。後半39分にMF中村俊輔に代わってピッチに入ったばかりの“銀髪の貴公子”が自らドリブルで持ち込み、豪快に右足を振り抜いた。

 「いろんな思いがあったので。それを乗せて。思い切り蹴っただけです」。鮮やかなゴールにも笑顔はなく、ガッツポーズもなかった。「結果がほしかった。いろんな思いがあったので、決めれてよかった」。狩野が繰り返した「いろんな思い」という言葉。それは俊輔の加入に伴い、先発のポジションを失ったこと以外にない。

 俊輔の選手登録が間に合わなかった開幕戦は右MFで先発。しかし、この日はそのポジションに俊輔が入り、自身はベンチスタートとなった。俊輔に押し出された格好で、ベンチへ“降格”していた。

 木村和司監督は試合後「あれはワシに対する怒りのシュート。気持ちが入っていた。あまり喜んでなかったね。でも、あれだけの気持ちを出した方がいい」と語った。先発の座を奪われた悔しさを前面に押し出し、力に変えた。「俊輔に代わる選手はお前しかいない。チャンスをものにすれば、世界に行けるぞ」。木村監督は狩野にそう告げ、発奮させていたことも明かした。

 「シュンさんが入って、落ち着くし、今までと違った感じがあった。自分もそこに入ってやっていけるように、これからもアピールしていきたい。次はまた切り替えて頑張ります」。狩野は満足することなく、静かに語った。これも俊輔が入ったことによる“相乗効果”のひとつなのかもしれない。

<写真>横浜FM・MF狩野
(取材・文 西山紘平)

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