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[大学]試合巧者・中大、勝ち点3離さず:関東1部

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[4.10 関東大学1部第1節 中央大 1-0 順天堂大 西が丘]

 10日、第84回関東大学サッカーリーグ1部が開幕。開幕試合で昨年2位の中央大と昨年2部優勝の順天堂大が対戦し、MF佐藤謙介(4年=浦和ユース)の決勝ゴールにより、中央大が1-0で勝った。

 立ち上がりに挙げた1点を守り抜いた中大が白星発進した。全日本大学選手権で準々決勝へ進出した昨年からDF新井辰也(名古屋)ら3選手がJリーグ入りするなど主力の半数が入れ替わった中大。この日はU-19日本代表MF六平光成(2年=前橋育英高)や関東大学選抜の快足左SB佐藤秀行(4年=塩釜FCユース)、右SB田港周平(3年=桐光学園高)らが先発したものの、全日本大学選抜FW林容平(3年=浦和ユース)と主力ボランチのMF永木亮太(4年=川崎F U-18)をケガで欠く苦しい布陣だった。

 だが中大は、1部復帰戦の緊張からか序盤動きの硬い順大が試合の流れに乗る前に先制点を奪う。8分、林に代わり先発したFW奥山慎(2年=帝京高)がPAへ送られたボールへ果敢にチェイスすると、対応が遅れた順大DFが痛恨のファウル。これで得たPKを佐藤謙が右足でゴール左隅へと流し込んだ。

 幸先良く先制した中大だが、ボールに対してしっかりとアプローチしてくる順大ディフェンスの前に中盤でボールキープできない。それでも攻撃のスイッチが入ってからの加速力は圧巻。一度スピードアップすると、左サイドで高い位置取りをする佐藤秀、右の田港らにまで必ずボールを通し、ラストパスへと持ち込んでいった。
 ただ、16分に相手のミスから抜け出したFW安柄俊(2年=東京朝鮮高)はシュートを放てず。30分にもMF平田直也(2年=千葉U-18)の右クロスから安がヘディングシュートを放ち、35分には奥山のバイシクルシュートとゴールを脅かすものの2点目を奪うことが出来なかった。

 対して1部復帰戦となった順大は元ジュビロ磐田のエースFW岡本達也が前線で存在感を放ち、再三あったCK・FKから1年生MF天野純(横浜FMユース)が放った左足キック、また足下に優れた1年生FW井村雄大(横河武蔵野FCユース)の攻撃力を活かしてチャンスをつくる。特に後半は相手をアタッキングゾーンへ入り込ませず、中盤での好守から素早くボールを動かしてゴールへ迫った。
 試合後に中大の佐藤健監督が「ボールの収まりが全くダメ。中盤で確固たるボールキープしないと」と反省点を挙げていたが、思うように攻撃を展開できない相手を尻目に順大は27分に元湘南ベルマーレのMF原田開(1年=磐田ユース)とFW斎藤拓也(1年=四日市中央工高)を同時投入してゴールへの迫力を増した。

 直後には齋藤とのワンツーから岡本が決定的な右足シュートを放つ。さらに36分、ゴール前でのこぼれ球に懸命に足を伸ばした中大FW新田圭(4年=桐光学園高)がGKへの不正なプレーと判定されて一発退場。数的優位を得た順大はDFラインの背後を取る場面を増やすなど波状攻撃を繰り出す。ただし、GK岡西宏祐(2年=山梨学院高)の好守と運動量が落ちながらも、したたかに時間を削っていく中大の前にゴールを奪えず。45分に原田のヒールパスから岡本が右足ダイレクトで放ったシュートもクロスバーの上方へ外れ、1点ビハインドの状況を最後まで打開できなかった。
 「後半みたいなサッカーが出来れば・・・。あとはボクが決めるだけ」と順大・岡本。対して決して内容がよかった訳ではなかったが、安の力強いポストワークに新主将・畑中亮人(4年=鹿島ユース)らの集中した守りなどで悪いながらも試合を乗り切った試合巧者・中大が順大をかわし、勝ち点3を獲得した。

<写真>前半8分、先制ゴールを喜ぶ佐藤謙(右)、奥山(中央)ら中大イレブン
(取材・文 吉田太郎)

大学サッカー特設:関東1部

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