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[プリンスリーグ]注目の高校対決は流経大柏制す

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[4.18 プリンスリーグ関東1部第2節 流通経済大柏高 2-0 桐光学園高 流通経済大柏高G]

 今秋に行われる全日本ユース(U-18)選手権の出場権を懸けたJFAプリンスリーグ(U-18)関東は18日、1部第2節などを行った。千葉県柏市の流通経済大柏高グラウンドでは、Jクラブユース勢数チームが名を連ねる激戦区から全国大会へ連続出場している流通経済大柏高(千葉)と桐光学園高(神奈川)の、高校チームを代表する2校が激突。試合は後半に挙げたFW進藤誠司とMF富田湧也のゴールにより、流経大柏が2-0で勝った。

 新チーム結成から約4ヵ月間無敗の進撃を続けた流経大柏と、昨年の全日本ユース選手権16強時のレギュラー8人を残す桐光とが戦った注目の一戦は、両チームが持ち味を発揮しあう展開にはならなかった。試合は良さを発揮したチームが勝つというよりも、ミスした方が敗れるだろうというじりじりとした消耗戦に。主力FWの坂本颯と田口広也を負傷で欠き、体調不良の影響で10番の菅能将也もベンチスタートだった桐光は、素早い攻守の切り替えから相手DFの背後を狙おうとするが、なかなか受け手と出し手の狙いが重ならず、またロングボールを流経大柏の189cmCB増田繁人にシャットアウトされてしまう。
 ただ、桐光対策のために右サイドにスピードのあるMF石井克仁を起用し、左のエース吉田眞紀人と合わせて両サイドから攻撃を繰り出そうとした流経大柏も、中盤のハードワークと粘り強い最終ラインを持つ桐光ディフェンスに穴を開けることができない。
 
 前半、少ないながらも両チームともにチャンスはあった。桐光は前半29分にCB福森晃斗からのフィードがPAのFW菅原慶人主将へと通り、40分にも敵陣でのインターセプトからパスを受けた菅原主将が右足を振りぬく。左MF岩浪晃大が得意のドリブルで鋭く切れ込む場面もあった。対する流経大柏も43分に左サイドからPAへ飛び込んできた吉田のシュートや、前半終了間際に右サイドを突いた進藤のラストパスから得点機をつくったものの、ゴールは奪えず。0-0のまま試合を折り返した。

 先に動いたのは桐光だった。主力不在ながらも前半を持ちこたえた桐光は後半開始からダブルボランチの一角に菅能を投入し、攻撃型へシフトチェンジ。だが、直後に不運な形から失点してしまう。3分、流経大柏は2年生宮本拓弥の突破から左CKを得る。これは桐光GK峯達也が危なげなく対応したが、セカンドボールを味方がクリアできずボールは再びPAへ。流経大柏はこのボールを増田が落とすと、最後はゴールエリアで反応した進藤が右足でねじ込み、先制した。

 桐光は13分にスピードのある右SB館坂信也を前線へ上げ、21分には館坂の折り返しから篠崎拓也がシュート。セカンドボールの攻防戦でも優位に立つ。ただ、ゴールを奪うしかない展開に、ベンチからも「攻撃にパワーをかけろ」と声が飛ぶが、ボールを運ぶまでに時間がかかり、相手を切り崩すことができない。逆に流経大柏は37分、右サイドのスペースを突いた富田が技ありのシュートを決めて2-0。勝利を決定付けた。

 浦和ユースに0-3で敗戦した初戦を引きずることなく今季初勝利。ただ流経大柏の本田裕一郎監督は「ブロックがきっちりできている桐光に対して崩す練習をやってきた。でもボールを動かしきれなくて、蹴る(前線へ蹴りこむサッカー)一本になっていた。ゴールは取れたけど、運よく裏を取れただけ」と厳しく、試合直後のミーティングで指揮官から「きょう勝って満足しているヤツはいるのか」と問われて手を挙げる選手はひとりもいなかった。

 その後立ったまま長時間ミーティングを行っていた選手たち。主将の増田は「まだチームに自信がない。連勝してきたけど、公式戦はまた違った。(全日本ユース選手権と全国高校選手権で優勝した)大前(元紀)クン(現清水)たちのときはチームとしてすごくまとまっていたと聞いている。自分たちは個性が強いけど、ひとつになって、気持ちの部分からまず上げていかないといけない」。強豪対決勝利にも試合後、流経大柏イレブンに笑顔はなかった。

<写真>後半3分、先制ゴールを決めた流通経済大柏FW進藤(左)が喜びを爆発
(取材・文 吉田太郎)

特設:プリンスリーグ関東
[高校サッカー]

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