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[ケイスポ]残り5分での連続失点、慶大が順大に敗れる

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[慶應スポーツ ゲキサカ版]
[4.24 関東大学1部第3節 慶應義塾大 0-2 順天堂大 東総]

 4月24日、第84回関東大学サッカー1部リーグ第3節の慶應義塾大対順天堂大戦が千葉県総合スポーツセンター東総運動場で行われ、慶大は0-2で敗れた。

 試合内容は、慶大・イ・ウヨン監督して、一言「甘い」。ミスに対する叱咤ではない。確かに連続失点した残り5分間のバックラインの油断は、失点につながる致命的なミスを生んだ。しかし敗因は、相手を崩しきることのできない後半40分までにあった。3度口に出されたこの言葉からは、ペースを掴むも決めきれない、チーム全体の攻撃の緩さに対する不満が感じられた。

 試合は序盤から互いにチャンスを掴む。慶大は28分、CKのクリアボールを拾ったMF河井陽介(3年=藤枝東高、清水エスパルス特別指定選手)からパスを受けたMF山浦公裕(2年=F東京U-18)が正面へ切り込み右の川久保理(2年=國學院久我山高)へ。一端下げたボールにDF笠松亮太(3年=東京Vユース)がダイレクトで反応。力強いシュートはわずかに枠の上へ外れたが、この一連の動きからリズムを掴み始めると、32分、33分にも山浦のFKなどからチャンスを掴み、前半終了間際の44分にも山浦のFKに笠松が飛び込んで得点の臭いを感じさせた。

 後半は両チームとも決定機を欠く膠着状態に。慶大はボランチのMF大塚尚毅(3年=滝川二高)に代えMF松下純土(1年=國學院久我山高)をピッチへ送り出したほか、FWの風間荘志(3年=暁星高)、FW森田達見(川崎F U-18)を投入。中盤と前線の活性化を図る。30分過ぎから再びペースを握りだしたものの、サイドを崩しても最後までつながらないもどかしい時間帯が続く。後半11分には、PA線上の中央やや左から放たれた順大FW井村雄大(1年=横河武蔵野FCユース)のFKがポストを叩くあわやのシーン。しかしその後は互いにヒヤリとする展開もなく、刻々と時間が過ぎていく。

 試合が動いたのは、残り時間も少なくなった後半44分だった。慶大GK中川翔太(3年=國學院久我山高)は、ゴール前に放り込まれたボールに対して自ら対処しようと前に出た。ところが、CBの笠松は前を向いたままバックヘッドでクリア。2人が交差し、ぽっかりと空いたゴール前のスペースにボールが落ちる。さらった順大のMF原田開(1年=磐田ユース、前湘南ベルマーレ)の前に障害は何もなかった。呆気なくシュートが決まる。

 さらに、その4分後のロスタイム。最終ラインからフィードのタイミングを図るCB三上佳貴(4年=藤枝東高)が右に2人交わし、中央から右前へパスを出す。ところがそのボールがPA付近でカットされるを見るや否や、危機を察知した三上はすかさずカットしようと足を出してしまう。判定はファール。蹴り放たれた順大MF天野純(1年=横浜FMユース)のFKは、鋭い直線上の軌道を描いて力強く慶大ネットを突き刺した。それまで鉄壁とも感じさせる強固な守りを築いていたディフェンスラインは、些細な連携ミスが引き金となってあっけなく崩された。0-2。時間して5分。あっという間の連続失点劇だった。

「結果が全て」(三上)という現実が突き刺さる。内容では押していたとはいえ、結果は数値のみで記される。「1点取っておけば全然問題なかった試合」(イ・ウヨン監督)。敗因は、随所に甘さが感じられた攻撃の緩さにあった。「得点に繋がるプレーの精度を上げていかないといけない」(藤田息吹)と選手らも反省点を口にした。

 次戦は、昨年インカレ出場枠をかけて一騎打ちの戦いを繰り広げた駒澤大。「とにかく次の1試合に向けて全力で準備していきたい」と話す三上主将のもと、シビアな攻撃で今年こそ因縁の相手を打破したい。

以下、試合後の慶大監督・選手コメント
●イ・ウヨン監督
「一言でいうと甘い」
―どういった部分が?
「全部。内容は試合ではウチが足らなかったかもしれないが、攻めていた時間帯でのラストのパス、クロス、シュートなど。このくらいでいいみたいな中途半端なクロスをあげたり、『ここは』というところでミスしたり、パスも。そういったところが結果につながった。ちゃんとここで1点取っておけば全然問題なかった試合。甘さが出た」

―DFに関しては失点シーン以外の連携はとれていたが?
「それがサッカーの怖さ。1つのミスで結果が変わる。0-0、勝ち点1取っとかないといけない試合だった。全ては結果です。まだまだどこかに隙があったかもしれない。意識することややり方などを修正して次戦に臨みたいと思う。甘い。甘い」

●DF三上佳貴主将(4年=藤枝東高)
―試合を振り返って。
「結果が全てだと思う。内容ではずっと(後半は特に)自分たちがペースを握れていたが、結局サッカーで大事なのは結果なので、今日は負けということでそれだけの実力しかなかったということ。真摯にこの結果を受け止めてまた次に取り組んでいきたい」

―失点シーン以外のDFの連携に関しては良かったと思うが?
「必ずミスはあるものなので。DFとしてはああいうミスはなくさないといけないが、試合をやっていれば必ずミスはある。みんなで正していかなければならない」

―逆にペースを握りつつも攻めきれなかったチームとしての要因は?
「今日に関して言えば、サイドは崩せてクロスも何本も入れられたが、それが結局シュートやゴールに繋がらなかった。クロスの精度だったり入る人の精度だったり、そういうところをもう一度練習で見直していかなければならない」

●MF藤田息吹(2年=藤枝東高)
―今日の試合を振り返って。
「本当に遠くから応援にきてくれた部員の思いとかもあったので勝ちたが、ふがいない結果になってしまい申し訳ない。」

―攻守に貢献していたが自身のプレーについて?
「センタリングの精度が低かったり、点に絡むプレーが出来なかった。最後得点に繋がるプレーの精度を上げていかないといけないと思う」

―昨年と比べ、得点が少ないイメージがあるが?
「去年とは別のチームで、今年のチームカラーなので。しっかりと守って、縦に早くというのが今年やりたいサッカー」

―次の駒大戦に向けて
「去年は駒大とインカレをかけて争ったが負けてしまったので、その借りを返したい」

(取材・文 慶應スポーツ新聞会)


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