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見せた4年生の意地と結束力、不振の法大が追いつきドロー(国士舘大vs法政大)

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[5.23 関東大学1部第9節 国士舘大 1-1 法政大 NACK]

 第84回関東大学サッカーリーグ1部第9節、暫定5位の国士舘大対11位の法政大は1-1で引き分けた。

 今季8戦1勝と苦しい戦いの続いていた法大が巻き返しへ向けて大きな勝ち点1をもぎ取った。膠着した序盤の展開を先に動かしたのは、エース格のFW吉野峻光(3年=静岡学園高)とMF蓮沼優(3年=千葉U-18)を負傷で欠きながら上位につけている国士大。前半38分、ハーフウェーラインをわずかに越えた位置から元FWの左SB瀬川和樹(2年=盈進高)が左足を振りぬくと、この超ロングシュートがゴールを捉え、先制に成功する。

 ただ、この後決定機を活かすことができなかった国士大に対し、法大はカウンターからFW相原辰(4年=帝京高)やFW浅田大樹(3年=帝京高)らが国士大ゴールを強襲。決定的なシュートを打ち込んでいく。ただ、国士大GK新井章太(4年=正智深谷高)の守るゴールを割ることができず、19分にはゴール前のこぼれ球に反応したFW深町伸太朗(3年=東福岡高)が右足を振りぬくが、これも相手選手にクリアされてしまう。

 徐々に追い込まれていった法大だったがMF山岸純平(4年=横浜FMユース)やGK土田健太(4年=前橋商高)らの好守で失点を免れると38分、MF金子直道(4年=帝京高)がPAへ転がしたパスを、右サイドから勢いよく飛び込んだSB上野恭平(4年=大津高)が右足でゴールへとねじ込み同点。1-1の引き分けに持ち込んだ。

 今季なかなか先発メンバーが固定されなかった法大。前節・神奈川大戦(0-3で敗戦)は1、2年生6人を先発起用していたが、元日本代表MFの水沼貴史監督はこの日、今季初出場となる上野ら4年生8人を先発としてピッチへと送り出した。「ボクの意気込みでもあるし、4年生の意気込みでもある。チームが安定しない中でよりコミュニケーションを取ることのできる選手たちを選んだ。走れる選手で、走ろうとする意思を見せよう、根本的な部分からチームを変えようとした」と指揮官。これまでは中央大戦、順天堂大戦の2試合連続で後半ロスタイムに決勝点を献上するなど相手を追い込みながらもあと一歩のところで甘さが出ていたが、この日は逆に苦しい展開で強い精神力を発揮する。

 「(法大は先発の多くを4年生が占め)結束してくるからきょうは気をつけろ、と言っていたけど・・・」と細田三二監督が警戒していた国士大に終盤追いつき、勝ち点1を奪取。その要因について、法大・水沼監督は4年生たちの存在を挙げ「チームとしての責任を見せてくれた」と目を細めていた。

 ただ、追いついたところで大喜びしていた選手たちに「追いついたことで満足してはいけない。次を狙わないと」と指揮官は苦言も忘れなかった。それでも、これまでよりも強い精神力と結束力を見せた法大イレブン。前線から果敢なプレッシングに加え、2年生の10番濱中祐輔(国見高)のほか、この日出番のなかった下級生にも実力派のタレントが揃うだけに11位から巻き返すことのできる実力は十分にある。それだけに大きかった追いついての勝ち点1獲得。3連敗中だったチームはリーグ戦中断、総理大臣杯関東予選開幕前に重苦しい雰囲気を振り払うことに成功した。
 
<写真>後半39分、上野(背中)の同点ゴールを喜ぶ法大イレブン
(取材・文 吉田太郎)

大学サッカー特設:関東1部

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