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開幕9戦一度もリード許さず!磐石の明大が首位独走(明治大vs早稲田大)

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[5.23 関東大学1部第9節 明治大 2-1 早稲田大 NACK]

 明治大が首位独走―。第84回関東大学サッカーリーグ1部第9節、明治大対早稲田大が23日、埼玉県のNACK5スタジアム大宮で行われ、明大がDF丸山祐市(3年=國學院久我山高)とMF田中恵太(3年=三菱養和SCユース)のゴールにより2-1で勝利。戦績を8勝1分とした明大は2位・駒澤大に勝ち点8差をつけ、優勝争いで独走態勢に入っている。

 今季9試合810分間戦って未だリードされた時間が1分もない明大。王者の無敵の進撃は、降り続く雨の中で行われた一戦でも脅かされることはなかった。「先に失点してしまうと大きく試合が動いてしまう。この点について選手たちがよく理解してくれている」と神川明彦監督も目を細める戦いぶり。決して楽な展開だった訳ではない。序盤は前線からの守備を欠かせない早大の前にやや押し込まれた。それでも明大は丸山が相手のキーマン、FW富山貴光(2年=矢板中央高、07年・08年ベガルタ仙台特別指定選手)にシュートを許さず。「前からディフェンスしてくれているし、最後は自分たちがやらせないこと」と丸山が語ったように、攻められても4年生の右SB鹿野崇史(4年=市立船橋高)が要所を締め、CB松岡祐介(2年=広島皆実高)がクロスを跳ね返すなど明大守備陣は全く隙を見せない。

 逆に明大は24分にMF宮阪政樹(3年=F東京U-18)が右足での弾丸FK。26分にはDFの背後を突いたFW山本紘之(4年=柏U-18)の決定的なシュートが相手ゴールを襲う。そして前半終了間際、セットプレーで試合を動かした。45分、明大はジェフユナイテッド千葉特別指定選手のFW久保裕一(4年=名古屋U18)が相手DFを引きずるかような力強い突破でFKを獲得する。ゴール正面右寄りの位置で得たセットプレーによる先制のチャンス。キッカーの丸山が放った左足シュートは、壁の外側を低い弾道で巻くとGKの手前でバウンドし、そのままゴール左隅へと吸い込まれた。

 対してここまで2連敗中の早大は右サイドから反撃を展開。ドリブラーのMF奥井諒(3年=履正社高)、優秀なクロッサーのSB野田明弘(4年=広島ユース)が右サイドから攻略を試みるが、明大がゴール前に築く砦は険しく決定的なシュートへ持ち込むことができない。逆に明大は後半23分、敵陣中央でFKを得るとMF小林裕紀(4年=ヴェルディユース)がクイックリスタート。これに反応した田中恵が右足で貴重な2点目のゴールを奪った。

 今季8試合で2失点の明大にとって2-0は“セーフティーリード”。それでも司令塔のMF中野遼太郎(4年=F東京U-18)とDFリーダーのCB小川諒(4年=柏U-18)を代え、ボランチに今季初出場となる清水エスパルス加入内定のCB岡根直哉(4年=初芝橋本高)、CBに畑尾大翔(2年=F東京U-18)を投入した早大は攻守で重要な役割を果たした岡根を基点に巻き返す。そして39分、野田の右CKを畑尾が頭で合せて1点差。反撃ムードが高まったが、インカレ優勝の立役者のひとりであるCB楠木啓介(3年=鹿児島実高)を中盤へ送り出して引き締めた明大に冷や汗をかかせるような場面を作り出すことはできず、試合終了。明大が開幕からの無敗を9へ伸ばし、3週間のリーグ戦中断期間を迎えた。

 主将のMF山田大記(4年=藤枝東高)は「全員の、切り替えだったり、守備の意識が高い。落ち着いて試合をすることができる」とピッチに立つ11人全員の力による勝利であることを強調する。関東大学リーグ1部、総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント、全日本大学サッカー選手権での3冠を目指すチームは、この後一発トーナメントの総理大臣杯関東予選に出場。まだ一度もリードをされていないため、リードされた際にどのような戦いができるかという“強者であるがゆえの悩み”を持つが山田は「公式戦でリードされていないのは不安要素。でも心配はしているけどやることは変わらない。もし点を取られたとしてもブレずにしっかりやるだけ」と頼もしかった。昨年は法政大に0-2で敗れ全国にたどり着くことができなかったが、今年のチームにはその不安も感じさせない強さがある。

(取材・文 吉田太郎)

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