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日本が突け入る隙は?カメルーンの"弱点"

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[5.29 国際親善試合 カメルーン1-1スロバキア クラーゲンフルト]

 日本にとって最も重要な試合である6月14日のグループリーグ初戦。その相手となるカメルーンにも突け入る隙はありそうだ。

 MFアレクサンドル・ソングをアンカーに置いた4-3-3でスタートしたカメルーンは後半途中から4-4-2にシフト。前半は3トップの中央に入ったFWピエール・ウェボにボールがおさまらず、中盤でパスは回るものの、強引な中央突破やミドルシュートが目立った。

 ソング、MFジャン・マクン、MFエヨング・エノーの中盤3人は細かいパス交換を見せるなど高い技術とアフリカ特有の柔らかいボールタッチがあったが、ボールを持ち過ぎる傾向もあるので、スロバキアのように厳しくプレッシャーをかけてボールを奪えば、速攻のチャンスとなる。特に攻撃のほとんどがソングを経由するため、逆に狙いどころとも言えるだろう。守備が受け身になると、かさにかかって来る。恐れずに激しくプレスをかけることが重要だ。

 4-4-2になってからはサイドにも攻撃の起点が生まれ、特に左サイドバックのDFベノワ・アス・エコットは積極的なオーバーラップだけでなく、正確なクロスやサイドチェンジでスロバキアの脅威となっていた。後半38分の同点ゴールもアス・エコットのアーリークロスから生まれた。日本の右サイドも、ここは十分にケアする必要がある。

 とはいえ、この日はFWサミュエル・エトーを欠いていた。エースが加われば、攻撃のバリエーションも迫力も精度も、格段に上がる可能性はあり、楽観はできない。

 カメルーンにとっての課題は、やはり守備か。強化試合ということもあっただろうが、この試合ではプレッシャーも球際もあまり激しく来なかった。スロバキアは自分たちの時間帯ではある程度、自由にボールをつなげていた。

 特にDFニコラ・エンクル、DFセバスティアン・バソングのセンターバックはポジショニングが悪く、後半5分、11分と立て続けに2人の間にスルーパスを通され、最終ラインの背後を取られた。日本とすれば、FW岡崎慎司の飛び出しは効果的かもしれない。

 また、セットプレーの守備でも、スロバキアの選手を簡単にフリーにする場面が目立った。スロバキアがシュートの精度を欠いたおかげで追加点を免れたが、セットプレーが武器である日本にとっては間違いなく得点のチャンスになるはずだ。

 カメルーンはこの日、エトーのほか、守護神であるGKイドリス・カメニ、右サイドバックのDFステファヌ・エムビアも不在だった。レギュラー3人がいなかったことは差し引く必要があるが、エムビアに代わって右サイドバックで先発したDFオーレリアン・シェジュのパフォーマンスは決して良くなかっただけに、選手層が厚いとは言えないだろう。

 ポール・ル・グエン監督は「最初の10分、15分は難しかったが、結果には満足している。新しい選手も良く適応しているし、この試合で私が望むものも出ていた。全体として内容は悪くない」と強調していたが、カメルーンもまた、現時点ではW杯に向けて順調とは言い難い。

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(取材・文 西山紘平)

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