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闘莉王先制弾も…連続オウンゴールでイングランドに逆転負け

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[5.30 国際親善試合 日本1-2イングランド グラーツ]

 日本代表は30日、オーストリア・グラーツでイングランド代表と強化試合を行い、1-2で逆転負けした。日本は前半7分、MF遠藤保仁の右CKからDF田中マルクス闘莉王が先制点。ところが、後半27分に闘莉王、同38分にはDF中澤佑二の連続オウンゴールで逆転された。これで国際Aマッチ3連敗となった日本は、6月4日にスイス・シオンでコートジボワールとW杯開幕前最後の強化試合を行う。

 日本は4-1-4-1のシステムを採用した。昨年11月15日の南アフリカ戦 (0-0)と同様、DFラインの前にアンカーを置く形。GKは川島永嗣が10年初先発となり、4バックは右から今野泰幸、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都で、アンカーの位置には阿部勇樹が入った。2列目は右から本田圭佑、長谷部誠、遠藤保仁、大久保嘉人。1トップは岡崎慎司だった。

 イングランドは4-4-2で、GKはデイビッド・ジェームズ、4バックは右からグレン・ジョンソンリオ・ファーディナンドジョン・テリーアシュリー・コールと並んだ。中盤は中央にトム・ハドルストーンフランク・ランパード。右にセオ・ウォルコット、左にアーロン・レノンが入り、ダレン・ベントウェイン・ルーニーが2トップを組んだ。

 立ち上がりはイングランドに気圧されるかのように押し込まれる時間もあったが、前半2分、ルーニーのパスを受けたランパードのシュートは闘莉王が体を張ってブロック。徐々に雰囲気にも慣れ始めると、前半6分に初めていい形をつくった。

 くさびのパスを受けた岡崎が後ろに落とし、阿部が素早く前線にフィードを送る。大久保がDFラインの背後を取ったが、ボールはDFがなんとかクリア。しかし、このプレーで獲得したCKから先制に成功した。

 前半7分、右CKのチャンスに遠藤はマイナス気味のグラウンダーのクロスを送ると、ニアに走り込んだ闘莉王が右足で流し込む。これが見事にゴールネットを揺らした。

 このゴールで落ち着きを取り戻した日本は全体の運動量も上がり、イングランドと互角に渡り合う。球際でもファウル覚悟の激しさを見せ、チャレンジ&カバーも徹底。サイド攻撃にも今野と長友が粘り強く対応し、最後は中澤と闘莉王のセンターバックが体を張った。

 前半19分にはルーニーのスルーパスにレノンが抜け出す決定的なピンチを招いたが、レノンのシュートは川島が好セーブ。同24分にはランパードが約40mの距離から直接FKを狙う。ブレ球のシュートを川島は前にこぼしたが、素早く闘莉王がクリアし、難を逃れた。

 イングランドはプレッシャーも弱く、ミスも頻発させた。アンカーの位置に入った阿部は攻守に奮闘。中盤のスペースを的確に埋め、ビルドアップでも上手くパスを引き出し、前後左右に散らしてリズムをつくった。

 前半20分には後方からのロングフィードをファーディナンドがクリアミス。こぼれ球を岡崎が狙うチャンスをつかんだが、シュートはゴール上に浮いた。前半30分、右サイドバックのジョンソンがスパイクを交換するためピッチ外に出ている時間帯には、空いたスペースに長友が飛び出しパスを受けたが、クロスの精度を欠いた。

 1-0のまま時間は推移。ほぼ完璧な内容で試合を進めていた日本だが、前半の終盤は徐々にプレッシャーが弱くなり、中盤のバランスが崩れ、押し込まれる時間が続いた。

 前半31分、イングランドの右クロスを中澤が頭でクリアしようとしたボールが後方に流れ、ベントにヘディングシュートを打たれたが、シュートはゴール左へ。同39分には右クロスからルーニーが右足のヒールキックで狙うも、枠は捉え切れなかった。

 1点ビハインドで前半を折り返したイングランドはハーフタイムに一気に5選手を入れ替えた。GKはジョー・ハート、右サイドバックはジェイミー・キャラガーに代わり、センターハーフもハドルストーンが下がってMFスティーブン・ジェラードがピッチに入った。攻撃陣ではウォルコットとベントが交代。ショーン・ライト・フィリップスジョー・コールが入り、レノンが右サイドに回り、フィリップスは左サイド。ジョー・コールはトップ下でルーニーと縦関係の2トップを組んだ。

 前半と同じメンバーで入った日本は後半6分、本田が左足でブレ球のミドルシュート。GKの手をかすめたようにも見えたが、判定はゴールキックだった。

 イングランドは後半10分、PAすぐ外の位置でFKを獲得。ランパードが直接狙うと、壁に入っていた本田の腕に当たってしまう。当然、PKとなったが、ランパードのキックは川島が横っ跳びでセーブ。絶体絶命のピンチを守った。

 徐々に苛立ちを隠せなくなるイングランドの選手とファビオ・カペッロ 監督。後半14分、大久保が顔をはたかれたとして手で覆って倒れ込んだ場面(主審はノーファウルの判定)では、カペッロ監督が隣のベンチ前にいる岡田武史監督に対し怒りをあらわにし、岡田監督が身振り手振りを交えて言い返す一幕もあった。

 日本は後半20分、岡崎に代えてFW森本貴幸を投入。すると同22分、左後方からの本田のクロスがファーサイドの森本へ。森本はPA内で切り返し、左足でシュートを打ったが、GKの好守に阻まれた。

 後半24分にはイングランドに決定機。ランパードのパスを受けたルーニーが左45度の位置から右足で狙い澄ましたシュートを狙ったが、またも川島がスーパーセーブを見せ、CKに逃れた。

 日本は後半26分に大久保に代えてMF松井大輔を投入したが、その直後に不運な形で同点ゴールを許してしまった。ジョー・コールが右サイドを抜け出し、ゴール前に鋭いクロス。ニアサイドでクリアしようとした闘莉王のヘディングがゴールに吸い込まれ、オウンゴールとなってしまった。再三の好セーブを見せていた川島もこれには反応し切れず、ついに1-1の同点に追い付かれた。

 イングランドは後半32分、レノンに代えてFWエミール・ヘスキーを投入し、一気に逆転を狙う。ジョー・コールがサイドハーフに回り、前線はルーニーとヘスキーの2トップに戻った。

 後半36分にはジェラードがルーニーとのワンツーでPA内に進入したが、長友が体を入れて対応。最後は川島が身を呈して抑えた。

 体を張って追加点を許さない日本だったが、後半38分、まさかの2度目のオウンゴールで勝ち越しを許してしまう。アシュリー・コールが左サイドからアーリークロスを送ると、スライディングでクリアしようとした中澤の足に当たってゴールマウスへ。闘莉王に続いて両センターバックのオウンゴールで1-2と逆転された。

 それでも気落ちすることなく、同点ゴールを目指す日本は後半41分、遠藤に代えてFW玉田圭司を投入する。同43分の本田の直接FKはゴール上へ外れたが、同45分には長谷部の強烈なミドルシュートでCKを獲得。玉田の左CKに阿部がニアで合わせるも、惜しくもゴールポストに弾かれた。

 ロスタイムは3分あったが、試合はそのまま2-1で終了。イングランドを相手に大健闘した日本だったが、最後は地力の差で競り負けた。

(取材・文 西山紘平)

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