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オランダに0-1敗戦も川島が好セーブ連発で最終戦につなぐ

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[6.19 W杯グループリーグE組 日本0-1オランダ ダーバンスタジアム]

 W杯南アフリカ大会は大会9日目を迎え、日本代表はグループリーグ第2戦でオランダ代表と対戦し、0-1で敗れた。後半8分、MFウェズレイ・スナイデルのミドルシュートで先制点を許したが、その後のピンチはGK川島永嗣が再三の好セーブ。これで1勝1敗となった日本は2大会ぶりのグループリーグ突破をかけ、24日の最終戦でデンマーク代表と対戦する。

 日本は14日のカメルーン戦同様、4-3-2-1のシステムでスタート。先発メンバーも一緒で、GK川島永嗣、4バックは右から駒野友一、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都と並んだ。中盤はアンカーに阿部勇樹が入り、右前に長谷部誠、左前に遠藤保仁。右サイドに松井大輔、左サイドに大久保嘉人が入り、本田圭佑が1トップを務めた。
 オランダは4-3-3で、初戦のデンマーク戦(2-0)とまったく同じメンバー。GKマールテン・ステケレンブルフ、4バックは右からグレゴリー・ファン・デル・ビール、ヨン・ヘイティンハ、ヨリス・マタイセンジョバンニ・ファン・ブロンクホルストと並び、中盤はマルク・ファン・ボメルナイジェル・デ・ヨングのダブルボランチで、トップ下にウェズレイ・スナイデルが位置。3トップは右からディルク・カイトロビン・ファン・ペルシーラファエル・ファン・デル・ファールトだった。

 試合は戦前の予想通り、立ち上がりからオランダがボール支配率で上回り、主導権を握る。日本は相手のセンターバックにはそれほどプレッシャーをかけず、しっかりと守備組織を整え、迎え撃った。

 それでも相手のボランチやサイドバックにボールが入れば、すかさず厳しくプレスを仕掛け、簡単にプレーさせない。常に複数の人数で挟み込み、豊富な運動量で球際も激しく競るなど狙い通りの試合運びを見せた。

 思うようにチャンスをつくれないオランダは前半9分、スナイデルが得意のブレ球FKで直接狙うが、ゴール上へ。ファン・マルバイク監督は徐々に苛立ちの色を見せ始め、テクニカルエリアを飛び出して激しい身振り手振りで指示を送るシーンもあった。

 日本は前半11分にオーバーラップを仕掛けた長友が松井とのワンツーから左足ミドルを狙う。同29分には左サイドから大久保がドリブルで仕掛けた。粘り強く守り、ワンチャンスを待つ展開が続いた。

 前半33分、右サイド後方からの遠藤のFKに阿部が頭で当て、さらに本田がヘディングシュート。同36分にも同様の位置から遠藤がFKを蹴ると、大外から走り込んだ闘莉王がヘディングで狙ったが、いずれも枠を捉えられなかった。

 オランダにチャンスどころかシュートシーンさえほとんどつくらせない日本。逆に前半38分には駒野の右クロスからこぼれ球を本田、遠藤とつなぎ、松井が左足ミドルを放つなどしっかりシュートまでつなげた。

 オランダは前半ロスタイムにファン・デル・ファールトがミドルシュートを狙い、久々のシュートを打ったが、GK川島がしっかりとキャッチし、0-0で前半を折り返した。

 前半のボールポゼッション率はオランダが69%と圧倒的に支配していたが、シュート数はオランダの3本に対し、日本は5本だった(枠内シュートは1本ずつ)。ここまでは完璧な試合内容を見せる日本。しかし、昨年9月の対戦でも前半は0-0と互角に渡り合った。結局、運動量の落ちた後半24分から3失点を喫し、0-3で完敗している。当時からどれだけ成長しているのか、真価が問われる後半となった。

 後半に入ると、徐々にオランダがエンジンをかけてくる。後半3分のスナイデルのシュートには遠藤が体を投げ出してブロック。その直後には左サイドをドリブルで突破したファン・ブロンクホルストのクロスにファン・ペルシーがヘディングで合わせたが、GK川島がキャッチした。

 さらに後半4分、ファン・ボメルがセンターバックとのワンツーで中盤のプレスをかわし、前線にフィード。ファン・ペルシーがスピードで中澤を振り切り、左足で狙ったが、シュートはゴール右にそれた。

 オランダの猛攻は続く。立て続けのCKのピンチは闘莉王がなんとか弾き返していたが、後半8分、ついにゴールをこじ開けられた。左サイドをえぐったファン・ブロンクホルストがクロスを上げると、闘莉王がクリアしたこぼれ球をファン・ペルシーが拾い、後方のスナイデルに戻す。スナイデルの渾身の右足シュートはGK川島の手を弾き、ゴールネットを揺らした。

 川島はほぼ正面でパンチングしようとしたが、シュートは左手に当たって左後方に流れてしまった。スナイデルが得意とするブレ球シュートではあったが、W杯公式球「ジャブラニ」の影響もあったかもしれない。

 先制点を許した日本は直後の後半11分、12分と大久保が立て続けにミドルシュート。同15分には遠藤のFKを阿部がバックヘッドで狙ったが、GKがキャッチした。

 日本は後半19分、松井に代えてMF中村俊輔を投入。同点ゴールを目指し、サイドバックも積極的なオーバーラップを見せるなど攻撃の枚数を増やしていく。後半24分には駒野がオーバーラップから鋭いクロスを送るも、逆サイドから走り込んだ本田の目前でクリアされた。

 オランダは後半27分、ファン・デル・ファールトに代えてFWエルイェロ・エリアがピッチに入る。俊足のエリアが左FWに入ったことで、日本も駒野と長友のポジションを入れ替え、長友が右サイドバックでエリアと対面した。

 日本は後半32分に一気に2人を代え、交代カードを使い切った。長谷部と大久保をベンチに下げ、FW岡崎慎司、FW玉田圭司を投入。阿部と遠藤のダブルボランチで、右に中村俊、左に岡崎、本田と玉田が2トップを組む4-4-2に変更した。

 しかし、リスクを冒すことなく、逃げ切りを図るオランダに対し、なかなかチャンスをつくれない。オランダは後半38分、先制ゴールのスナイデルを下げてMFイブラヒム・アフェライを投入した。

 後半40分、オランダは速攻でチャンスをつくり、エリアのスルーパスからアフェライが中澤の背後を取り、独走。決定的なピンチを迎えたが、GK川島が1対1をセーブし、追加点を許さなかった。

 さらに後半43分、ファン・ペルシーに代わって入ったFWクラース・ヤン・フンテラールがいきなり決定機を演出する。中澤を背負った状態でパスを受けると、鋭い反転で中澤をかわし、前へ突進。アフェライにラストパスを送ったが、またしても川島が体を張って1対1を止めた。

 日本にも最後の最後にチャンスが来た。後半46分、右クロスを闘莉王が頭で落とすと、岡崎がDFラインの背後を取る。しかし、左足のシュートはわずかにゴール上に浮いてしまい、チャンスを生かせなかった。

 後半47分にはドリブルでPA内に仕掛けた長友がデ・ヨングに倒される場面もあったが、ファウルはなし。結局、そのまま0-1で試合終了となったが、川島のスーパーセーブ連発でオランダを相手に1点差負けで食い止め、デンマークとの最終戦につなげた。

<写真>試合直後の日本代表。悔しさをばねに、次こそは勝利をつかみたい

(取材・文 西山紘平)

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