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本田と約束していたゴール、岡崎「俺やからパスしてくれた」

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[6.24 W杯グループリーグE組 日本3-1デンマーク ロイヤル・バフォケング]

 “約束”のゴールだった。2-1の後半43分、ゴール前でGKと1対1の絶好機を迎えたMF本田圭佑から丁寧なラストパスが届いた。フリーで待っていたFW岡崎慎司はわずかにトラップが大きくなったが、落ち着いて無人のゴールに流し込む。日本の勝利を、グループリーグ突破を決定付けるダメ押しゴールだった。

 「決める瞬間は、こんなにも緊張するものなのかと。トラップしてシュートを打つとき、本当に緊張した」。流し込むだけの場面。これまで数多くのゴールを決めてきた岡崎にとっても、W杯のゴールはそれだけ重かった。

 エースとして日本をW杯に導いた。09年は国際Aマッチ16試合で15得点を量産。不動の1トップとしてW杯に挑むはずだった。ところが、大会直前にポジションを失った。譲り渡したのは、本職はMFである本田。FWとして、これ以上の屈辱はなかった。途中出場が続いた過去2戦。19日のオランダ戦では後半ロスタイムに迎えた絶好の同点機でシュートミスもあった。もうあとはない。崖っ縁に追い込まれていた岡崎を、本田が救った。

 「俺も決めるから、お前も途中から出てきて決めろよ」。試合前、本田と約束していた。本田は試合後「あそこで(自分の)2点目を取れないのが、俺がストライカーになれない理由」と言ったが、本音は違っただろう。岡崎は「(本田が)シュートを打つと思った。俺やからパスしてくれたと思う」と感謝した。

 「これで自分のアグレッシブなところが出てくると思う。あんな形のゴールだけど、何にせよ1点取ったことは前に進める。自信になるゴールだと思うし、本当によかった」。そう言って安堵の表情を浮かべていた。

 「点を取れて、ほんとによかった。でも、それだけじゃ満足できない自分もいます」。悩めるエースの完全復活。それを導いた本田のアシスト。日本が勢いに乗る、これ以上の理由はない。

<写真>3点目を決めた岡崎は、お膳立てしてくれた本田と抱擁

(取材・文 西山紘平)

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