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[総体]原ジュニア擁する都・駒場、恩師の誕生日祝う大勝で全国切符

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[6.26 全国高校総体東京都予選準決勝 都・駒場 4-0 駒澤大学高]

 都・駒場イレブンが名将に嬉しい誕生日プレゼントを捧げた。平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」東京都予選準決勝が26日に駒沢第2競技場で行われ、第2試合は都・駒場が4-0で駒澤大学高を下して決勝へ進み、全国大会の出場権を獲得した(東京都は加盟登録数の多いため、2校が全国出場)。

 都・駒場を率いるのは、同校OBで監督就任2年目の山下正人監督。07-08年には、同じく都立の三鷹を率いて全国高校サッカー選手権でベスト8入りを果たし、旋風を巻き起こした名将だ。この日は54歳の誕生日。勝利に喜び応援団へのあいさつを終えたイレブンは、日本サッカー協会・原博実強化担当技術委員長の息子でチームのキャプテンを務めるDF原玄を先頭に「誕生日おめでとうございます」と笑顔で指揮官を祝福した。

 スコアを見れば大差だが、一方的に押し切ったわけではない。駒大高は、今春に行われた関東大会・東京都予選の王者。東京都内のチームがしのぎを削るT1リーグの成績も首位(6月26日現在)と好調だ。一方の都・駒場は12チーム中11位(同)と低迷中。下馬評では駒大高が優勢で、都・駒場の山下監督も「5回やったら4回は確実にやられる」と認めた。しかし、試合開始1分、都・駒場は相手DFのクリアミスをさらった2年生FW畠中潤が、一気の独走でドリブルシュート。驚くほど早く先制点が都・駒場に転がり込んだ。その後は「押し込む駒大高」と「カウンターの都・駒場」の展開。互いにシュートチャンスを決めきれない流れが続いたが、後半に入って間もない9分、都・駒場は左サイドからカウンター攻撃を仕掛け、最後はこのチャンスを見逃さずに逆サイドから走り込んだ右MF松本侑大がこぼれ球を押し込んで貴重な追加点を奪い取った。

 試合が終盤に差し掛かると、2点を追う駒大高が前線に人数を残す攻撃的なシステムに切り替えた。ワンタッチ、ツータッチのプレーが増え、より手数をかけずにゴール前へと迫る。36分にはセットプレーのキッカーを務め、ロングスローでも相手を脅かし続けた右MF黒木海人のミドルシュートがゴールバーを直撃。残り時間は少なかったが、リードしている都・駒場にとっては不安の募る展開となった。ところが、都・駒場は途中出場のMF藤原裕太が救世主となった。38分、藤原は左サイドを独力でえぐると、エンドライン際からシュートを突き刺し3点目。さらにロスタイム、再び左サイドでボールを受けると、相手のDF、GKとの競り合いを制してダメ押しの4点目をマークした。
 山下監督は、起用に応えた藤原の活躍に「関東大会まではレギュラーだったけど、使えば使うほどダメで一度はBチームに落とした。でも今日はやってくれるかなと思って使った。(普通は1度限りの意味だけど)まぐれは2回あるのかもね」と頬を緩めた。都・駒場の高校総体全国大会出場は9年ぶり2回目。07-08年に三鷹を全国高校選手権のベスト8に導いた知将は「もう高望みしません。あとは自然体。沖縄には遊びに行ってきます」とウソぶいたが、全国の舞台でも強かにアップセットを狙うに違いない。

(取材・文 平野貴也)

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