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長友、大号泣の退団セレモニー。「また青赤のユニホームを着てこのピッチに立ちたい」

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[7.17 J1第13節 F東京2-2神戸 味スタ]
 感謝、感激、東京での思い出--あらゆる想いが走馬灯のようによみがえり、涙が止まらなかった。セリエA・チェゼーナへの移籍が決まったFC東京の日本代表DF長友佑都は神戸戦後、退団セレモニーを行った。
 最初に、明大時代の恩師、神川監督から花束を受け取り、そのあとセンターサークル内でサポーターに挨拶しようとしたが、我慢できなかった。すでに目や顔は真っ赤。なかなか言葉が出てこない。FC東京入団後の様々な出来事が頭を駆け巡り、感極まって大粒の涙をこぼした。
 第一声は、サングラスをかけて、「ボンジョルノ!」という挨拶だった。自分で考えたというパフォーマンス。笑いを誘おうとしたが、サポーターからは愛あるブーイングが飛んだ。それでまた、涙に変わった。時折、涙声で詰まりながら、続けた。
 「2年半、短い期間でしたけど、本当にありがとうございました。出会いがあれば、別れもあります。ただ、僕はみなさんと別れるつもりはありません。もっともっとビッグになって、世界一のサイドバックになりたい。そしてまた青赤のユニホームを着て、このピッチに立てるように、自分作りに励みます。離れるのは寂しいですが、自分で決めた道なので、信念を持って戦ってきます。これからも、長友佑都を、FC東京をよろしくお願いします」
 挨拶の後、場内を一周した。味スタ全体に響き渡る、無数の「長友コール」に包まれ、笑顔を交えながら手を振り、頭を何度も下げた。今季開始前から、W杯後の海外移籍を見据えていた。シーズンが始まり、4月、5月と進むうちに、「あと何試合、FC東京の一員として試合ができるのか」と胸に秘めながら戦ってきた。普段は明るい男も、思うように勝てない試合が続き、眠れない夜もあった。
 それでも、ファンは支えてくれ、励ましてくれた。「FC東京のサポはホント、暖かいよ」。何度となく漏らした本音。長友は最後、慣れ親しんだ青赤の背番号5のユニホームを脱ぎ、深々と頭を下げた。感謝の想いを込めて――。
 「やっぱりFC東京に入ったから、今の自分がある。きょう、試合はこうなったけど、結果はしょうがない。サッカーとはそういうもの。内容はよかったと思う。(移籍は)自分で決めた道なんで、頑張ってきます」。今後は生まれ故郷の愛媛に戻り、関係者を訪問したり、お墓参りをする。そしていよいよ22日にイタリアに向けて出発する予定。この夜、青赤サポーターから受けた熱い声援を忘れることなく、長友は世界に挑戦する。
<写真>サポーターに別れの挨拶をする長友
(取材・文 近藤安弘)

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