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[天皇杯予選]東京Vユースまだまだ続く快進撃!!主軸不在も社会人相手に5発大勝

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[8.21 第15回東京都サッカートーナメント・準決勝 エリースFC東京1-5東京Vユース 西が丘サッカー場]

 天皇杯東京都代表チームを決定する東京都サッカートーナメントの準決勝が西が丘サッカー場で行われ、東京ヴェルディユースがエリースFC東京を5-1で撃破し、決勝進出を決めた。

 東京Vユースは、ここまでの予選全戦でFKからゴールを決めているMF小林祐希と主将のDFキローラン木鈴がU-19日本代表としてSBSカップ国際ユースサッカー(静岡)に参加中のため不在。さらに、東京Vトップチームに帯同しているFW南秀仁も欠いた状況で試合に臨んだ。

 主軸不在の影響が懸念されたが、全く感じさせない戦いぶりでチーム力の高さを見せつけた。前半14分、MF渋谷亮が相手陣内でインターセプト。ボールを受けたMF杉本竜士が左サイドPA内へとドリブル突破を仕掛けると、そのまま右足を振りぬき先制点を獲得する。

 さらに19分には、左CKからのこぼれ球にPA内右からMF南部健造がドリブルシュート。これは相手GKに阻まれたが、弾いたボールをDF高野光司が頭で押し込み、追加点を挙げた。

 ここまで明治大、慶應義塾大の大学勢を撃破している勢いそのままに2点リード。ただ、社会人相手に簡単に勝つことはできない。ここから立て続けに左サイドを突破され、簡単にクロスを許すと、同27分には左CKからのボールに中央でDF近藤慎吾(前・明治大)にヘディングシュートを決められてしまう。1点差とされて焦りが見えるかと思われたが、この夏日本クラブユース選手権(U-18)大会優勝、そして天皇杯予選を勝ち続けてきたチームのゲーム運びはさすがだった。

 一切動揺することなく、ピッチを広く使ってボールを回し、ポゼッションで相手を上回ると、同37分には中央でボールを受けた渋谷がPA右のMF相馬将夏へとパス。これを相馬がワンタッチで右足で押し込み再びエリースFC東京を突き放す。

 後半に入っても流れは変わらない。17分にはカウンターのチャンスに左サイド相馬からのパスを受けたFW前田直輝が右サイドで相手DFを揺さぶり、上手く交わすと左足でシュートを決めた。そして39分には相手GKのクリアしたボールをMF楠美圭史が右足で押し込み、東京Vユースが5-1で勝利した。

 試合後、5発の快勝にも東京Vユースの楠瀬直木監督は「このままだと高円(9月開幕の高円宮杯全日本ユース選手権)は予選で敗退してしまう。クラブユースも圧倒的に勝った訳ではないですし、このままじゃいけない」と厳しいコメント。多くのチャンスを決めきれなかったことを課題に挙げ、勝ってさらに兜の緒を締めた形となった。

 28日の決勝ではJFLの横河武蔵野FCと対戦するが、トップチームにも2種登録されている小林、キローラン木鈴、南らの出場は現段階では未定だ。東京都代表決定戦の決勝に東京Vユースの選手として出場した場合、選手登録の関係で天皇杯本大会に東京Vのトップチームでは出場できなくなる。そのため、トップチームが彼らを必要と判断すれば、予選決勝を欠場し、トップチームの一員として本大会に備えることになる。

 東京都代表として、高校生チームが天皇杯本戦へ出場した例はないだけに、選手たちは「試合に出れるほうを優先したい」という思いが強いが、楠瀬監督は「出れなくてもトップの空気は吸ってほしい」と話し、「残りの選手の厚みをあげて次の試合に臨まないと」と話すなど、そこは先々を見据えた形になる可能性が高そうだ。

 しかし、この日の試合で見せたように、東京Vユースは2種登録メンバー以外の選手でも戦えるところはみせつけた。この日ゲームキャプテンを務めた渋谷も「3人がいない間に負けるのは悔しいから」と力強く語っている。誰が出ても変わらない今の東京Vユースの強さ。再び決勝で真価は問われることになる。

<写真>先制点を挙げた杉本

(取材・文 片岡涼)

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