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[国体]誇りある「首都・東京」が日本一奪冠!

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[9.30 国体少年男子決勝 東京 2-0 大阪 市原臨海]

 東京が3年ぶり日本一! 30日、第65回国民体育大会ゆめ半島千葉国体サッカー競技少年男子決勝が市原臨海競技場で行われ、東京が大阪に2-0で勝利。東京は3年ぶり5回目の日本一に輝いた。

 「首都・東京」がタイトル奪還のノルマを果たした。「東京は注目されているし、恥ずかしいことはできない。誇りをもってやろうと言っていた」と川島弘章監督が振り返り、主将のCB徳田康朗(F東京U-18)が「注目されているし、負けられないという思いと誇りがあった」と力をこめた東京。首都の代表が大阪との東西決戦を制し、日本一に輝いた。

 立ち上がりから「前を向いたら止められない」と川島監督が評した大阪FW南野拓実(C大阪U-18)がエンジン全開で東京ゴールへと襲い掛かってくる。また大阪はスピードのあるFW出岡大輝(G大阪ユース、1年)ら3試合9得点の攻撃陣が圧力をかけ、局面局面で東京を上回ろうとしていた。
 ただ、先制したのは東京だった。前半12分、MF楠美圭史(東京Vユース、1年)が左サイドへ展開すると、MF安在和樹(東京Vユース、1年)がすぐさまクロスボール。こぼれ球をFW天野将平(F東京U-18、1年)がDFと競ると、これがDF吉田一彦(F東京U-18、1年)への絶妙なラストパスとなった。ボールを受けたのは流れの中で最前線へ駆け上がってきていた背番号3の右SB。「受けたときに『ヒーローもらった』、と思った」と笑顔で振り返った吉田が右足を振りぬくと、これが貴重な先制ゴールとなった。

 「対等に戦えていたし、いくつもチャンスはあった。ただ、このチームにとって先制点を許したのは初めてだった。焦ってしまっていたところがあるし、勝たせてやれなかったのは申し訳ない」と大阪の坂元博晃監督は残念がったが、グラウンダーでつなぐのではなく空中戦を選択する場面が目立つ大阪は、リズムのいい攻撃を繰り出すことができない。

 それでも後半開始30秒、大阪は途中出場のMF坪井雄哉(G大阪ユース、1年)の折り返しから南野が強引にシュート。だが東京は徳田主将がこれを懸命にブロックをすると、4分には左サイドを大阪・出岡に破られたものの、そのシュートはGK馬場拓郎(F東京U-18、1年)がビッグセーブではじき出した。試合を振り出しに戻そうとする大阪は、U-17日本代表MF秋山大地(C大阪U-18、1年)の個人技などでPAまでは入るが、今大会無失点の東京守備陣はゴールを許さない。

 逆に後半22分、東京のショートカウンターが炸裂。楠美のスルーパスにオフサイドぎりぎりで反応したFW岩田拓也が右足でゴールへと沈めて2-0とした。大阪は最後まであきらめずにゴールを狙ったが、好守を連発する馬場の壁は破れず。東京が「自分たちもびっくりした」(徳田主将)という全試合完封で3年ぶりの全国制覇を成し遂げた。

 主力CBフェアー・モービー(東京Vユース、1年)が年代別のアメリカ代表に選出されて欠場したため、本来左SBの吉田を右SBへ移し中盤の湯浅寿紀(F東京U-18、2年)を急遽左SBで起用するなど、急造DF陣での戦いを強いられた東京。だがモービーの代わりに追加招集をすることなく、「結束していたし(登録16人のメンバーよりも)1人少ないけどみんなで頑張ろうと。不安はなかった」と指揮官が胸を張る通り、徳田と浅野友亮(F東京U-18、1年)の両CBを中心に一丸となって戦った選手たちは、急造DF陣とは思えない好守と粘り強さで奮闘。「東京」のプレッシャーを全員で力に変えた。

(取材・文 吉田太郎)

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