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ニューヒーロー賞は広島・高萩、「僕でいいのかなと。“ニュー”ではないんで」

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 ナビスコ杯2010のニューヒーロー賞にはサンフレッチェ広島のMF高萩洋次郎が選出された。2日に都内で行われた前夜祭で表彰された高萩は「びっくりしてます。僕でいいのかなと。高校から合わせて7、8年やってて“ニュー”ではないんで。嫁のほうが喜んでいました」と、照れとも苦笑いとも取れる表情を浮かべた。

 広島としては初のニューヒーロー賞の獲得なるが、“無欲のタイトル”となった。今年8月で24歳になったが、大会開幕時には規定の23歳だったため、対象者に。しかし本人は「メンバー表を見たら(対象者に印される)☆がついてたので知っていたくらい。狙ってた? ぜんぜん。噂ではノミネートされてないとも聞いてたので」とまったく意識していなかった。そもそも、広島はACLに出場し予選は免除されていた。決勝トーナメントが始まったときにはすでに24歳。自分には縁がないと思っていた。

 試合ごとの投票のため“出遅れ感”はあったが、トップ下としてチーム躍進の原動力となった。9月8日の準々決勝第2戦・G大阪戦(2-1○)でアシストし勝利に貢献。また9月29日の準決勝第1戦・清水戦(2-1○)では1得点1アシストの活躍をみせ、決勝進出へ優位に進めた。これらの活躍が高く評価された。

 選出の経緯について、Jリーグ技術委員会委員長の上野山信行氏は「準々決勝以降の出場ながら、4試合にフル出場。準決勝第1戦では勝ち越しゴールを決めるなど、実力ぞろいの若手がいるチームの中で、圧倒的な存在感を見せたことが、受賞にいたる大きな要因となった。チームの攻守の要としてはもちろん、日本代表を狙う存在としても、今後の活躍が期待される」と評した。

 過去の受賞者と比べて、決勝トーナメントからの参戦ということもあり、インパクトに欠けると思うファンがいるかもしれないが、実力はそんなことはない。もともとユース時代から才能が高く評価され、2003年4月にはクラブはもちろん、当時のJ1・J2の最年少出場記録となる16歳8カ月3日でJ1デビューを果たしている。その後、J2愛媛での武者修行を経てさらに成長。“叩き上げのファンタジスタ”として今では広島に欠かせない選手となった。

 03年の田中達也(浦和)、07年の安田理大、昨年の米本拓司(F東京)に続く4人目ニューヒーロー賞&MVPのダブル受賞に期待が高まる。高萩は「まずはチームが勝つことが大事。前線の選手なんでゴールにつながるプレーをしたい。槙野がMVPを宣言? 槙野がシュートしたところを僕が触って決めて、MVPが取れれば」と控えめに語った。“調子乗り”の多い広島にあってこの“引っ込み思案”が好運を運ぶ“秘訣”か? 高萩は派手な言動ではなく、派手な、光るプレーでナビスコ杯初制覇に貢献する。

以下、過去のニューヒーロー賞

96年:名波浩(磐田)
   斉藤俊秀(清水)
97年:三浦淳宏(横浜F)
98年:高原直泰(磐田)
99年:佐藤由紀彦(F東京)
00年:鈴木隆行(鹿島)
01年:曽ヶ端準(鹿島)
02年:坪井慶介(浦和)
03年:田中達也(浦和)
04年:長谷部誠(浦和)
05年:阿部勇樹(千葉)
06年:谷口博之(川崎F)
07年:安田理大(G大阪)
08年:金崎夢生(大分)
09年:米本拓司(F東京)
※所属は当時のもの

以上

[写真]ニューヒーロー賞副賞のナビスコ製品のお菓子を食べる高萩洋次郎

(取材・文 近藤安弘)

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