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残り1分からの悪夢、広島は初優勝ならず

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[11.3 ナビスコ杯決勝 磐田5-3(延長)広島 国立]

 初優勝へのカウントダウンに入った矢先に悪夢が待っていた。2-1の後半終了間際の失点。延長戦で力尽きたサンフレッチェ広島はあと一歩のところでタイトルに届かなかった。

 0-1の前半43分、FW李忠成のゴールで試合を振り出しに戻し、後半3分にMF山岸智が勝ち越しゴール。1点のリードを奪うと、後半33分にはMFミキッチに代えてDF横竹翔を投入し、逃げ切り態勢に入った。

 ところが、勝利目前の後半44分、CKからMF那須大亮にヘディングシュートを許すと、GK西川周作が弾いたこぼれ球をFW前田遼一に押し込まれ、土壇場で同点に追い付かれた。

 「自分の理想の形で点を取れたところまではよかったけど、最後のところでセットプレーから失点して。残念としか言いようがない」。山岸はそう言って唇をかんだ。

 終了間際の失点は広島の選手に重くのしかかった。DF槙野智章は「ロスタイムに追い付かれて、チームとしてテンションが落ちてしまった」と振り返る。流れは完全に磐田に移った。延長前半12分、14分と連続失点。同ロスタイムに「チームに元気がなかったので、プレーで引っ張りたいと思った」という槙野が直接FKを執念でねじ込み、1点差に迫ったが、延長後半4分に前田に2点目を許し、万事休すだった。

 ペトロヴィッチ監督は2-1とリードしてからの後半の試合運びを振り返り、「1点のリードを守り切ろうとかなり守備的になった。守り切ろうとした姿勢がああいう失点につながったのかもしれない」と指摘。攻撃サッカーを掲げながら、タイトルがちらついた終盤に“らしさ”を失い、守備的に回った。「相手陣内には大きなスペースがあった。ボールを奪ったら早くそこに走り、速攻を仕掛けなくてはならなかった」と、3点目を取りにいく姿勢を欠いたことを敗因に挙げた。

 悔しい幕切れになったが、J2降格の憂き目に遭った07年から3シーズン目にしてACLに初挑戦し、ナビスコ杯でも決勝の舞台にたどり着いた。下を向く必要はない。限られた選手層の中、次々と若手が台頭し、“勝ち取った”準優勝だ。「来年はこのカップを我々が手にできるように頑張っていきたい」。ペトロヴィッチ監督は悔しさを押し殺し、来季のリベンジを誓っていた。

[写真]準優勝に落胆する広島の選手たち
(取材・文 西山紘平)

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