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玉田の目に涙、「狙っていた」優勝決定弾

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[11.20 J1第31節 湘南0-1名古屋 平塚]

 目には涙が浮かんでいた。こみ上げて来る感情を必死にこらえた。FW玉田圭司のヘッド弾が名古屋グランパスに悲願の初優勝をもたらした。

 「涙はあんまり見せたくなかったんだけど、自然と出た。いろんなことがあったけど、いい年だったと思う」

 ここしかないというポイントに走り込んだ。後半21分、DF阿部翔平からの大きなサイドチェンジを受けたFW杉本恵太が右サイドを疾走。その瞬間、玉田のゴールへの嗅覚が鋭く反応した。

 「杉本がいい形でボールを持ったので、信じて走った。その結果、頭で触ることができたと思う」。杉本からのピンポイントクロスを頭で捉える。下に叩き付けたヘディングシュートはGK都築龍太の横を抜け、ゴールネットを揺らした。

 玉田の4試合ぶり今季12得点目が優勝弾になった。「多少、狙っているところはあった」と言う。「得点数はあまり気にしていないけど、自分の得点で勝って、優勝できたことがうれしい」。ここぞという大事な場面での決定力は、玉田の真骨頂だった。

 「最高の1年だったというわけじゃない」。代表では悔しさも味わった。南アフリカW杯は控えに甘んじ、オランダ戦とパラグアイ戦に途中出場しただけ。出場時間はたったの28分。自国開催以外では初の決勝トーナメント進出を果たし、日本中が歓喜と興奮に包まれる中、帰国会見では「悔しいです。それしかない」と喜び切れなかった。

 ザッケローニ新監督が就任した新生日本代表にも招集されず、W杯の悔しさはクラブでぶつけるしかなかった。W杯前はわずか2点だったが、リーグ再開後、2ケタの10得点を量産。上位対決となった9月25日の清水戦では移籍後初となるハットトリックも達成した。FWケネディが厳しくマークされる中、もうひとつの得点源がチームを勢い付けた。

 「最高ではないけど、優勝できたし、いい1年だったと思う。優勝の味? まだ分からない。名古屋に帰ったら実感がわくのかもしれない。でも、優勝というのは1回だけで満足するものじゃない」。初優勝の次は連覇、さらにはアジア制覇という目標もある。次なるターゲットに向け、玉田はこれからもゴールを狙い続ける。

[写真]名古屋FW玉田

(取材・文 西山紘平)

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