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“負け知らず”永里2発で福岡が連勝、千葉の結果次第で昇格決定へ

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[11.23 J2第36節 岐阜0-2福岡 長良川球]

 3位アビスパ福岡が2連勝で5シーズンぶりのJ1復帰に大きく近づいた。敵地でFC岐阜に2-0で快勝。17時キックオフの4位千葉にプレッシャーをかける勝利で、勝ち点差を暫定ながら「8」に広げることに成功した。

 勝利の立役者は出場停止明けのMF永里源気だ。前半10分、右サイドのスローインからMF中町公祐が右足ダイレクトでシュート。いったんはDFに阻まれたが、永里がこぼれ球に素早く詰め、右足で押し込んだ。

 立ち上がりの先制点でリズムをつかんだ福岡はその後も岐阜を圧倒。なかなか2点目を奪えずにいたが、後半26分にはカウンターから中町がシュートを狙うと、DFに弾かれたボールを逆サイドから走り込んだ永里がまたも右足で流し込んだ。中町&永里のホットラインで2得点。試合を決定付ける追加点で、J1昇格を大きく引き寄せた。

 だれよりもこの試合に懸けていた。永里は前節の東京V戦が累積警告で出場停止。貴重な得点源を欠いたチームは苦しみながらも後半ロスタイム、途中出場のFW高橋泰の劇的FK弾で3-2と競り勝ったが、昇格争い直接対決となった大一番を欠場することになった永里は悔やみ続けていた。

 「前節、出られなくて迷惑をかけた分、今日は点を取って貢献したかった」。試合後のインタビューでこの試合に懸ける思いを明かした永里。有言実行の2発は、“全勝神話”を継続するゴールにもなった。

 得点ランキング暫定3位に並ぶ今季通算15得点とした永里だが、自身がゴールを決めた試合はこれで12戦12勝。「僕が取った試合は負けていなかったので、今日も決めたから勝てるかなとは思いました」と自信たっぷりだった。

 午後5時キックオフの千葉が草津戦で引き分け以下に終われば、その時点で福岡の3位以内が確定し、J1昇格が決まる。それでも主将のDF丹羽大輝は「他会場の結果は僕たちはどうしようもない。まずは中2日のホーム・札幌戦でしっかり戦いたい」と気を緩めることなく、前を見据えた。

 たとえ千葉が草津に勝ったとしても、残り2試合で勝ち点差は5。自分たちが次節27日の札幌戦に勝てば、無条件で自力昇格が決まる。

 昨季はクラブワーストのJ2・11位に沈み、元日本代表FW黒部光昭ら9選手を大量放出。永里、中町ら即戦力のほか、福岡大からMF末吉隼也、DF宮路洋輔といった新人も獲得し、大胆な改革に踏み切った。

 思い切った世代交代は奏功し、開幕戦で昇格候補の甲府に3-1で快勝。4月に4連敗を喫するなど苦しんだ時期もあったが、怒涛の5連勝で中断期間に入ると、7月からも5連勝を含む8戦負けなしと着実に勝ち点を積み重ねた。大一番となった9月12日の千葉戦に2-1で競り勝ち、昇格圏内の3位に浮上。その後は一度も4位以下に落ちることなく、J1復帰にまい進してきた。

 「僕たちはチームワークが命です」と丹羽は胸を張る。若手とベテランが上手く融合し、長丁場のリーグ戦を総力戦で戦い抜いてきた。06年シーズン以来となるJ1へ。歓喜の瞬間はすぐそこだ。

(文 片岡涼)

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