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[MOM370]F東京U-18MF武藤嘉紀_パワフルな仕掛けで決勝弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.23 Jユースカップ準決勝 京都U-18 0-1 F東京U-18 長居]

 ゴール正面で右サイドからのパスを受けると、迷わずに決めに行った。足下にボールを置き、相手との接触に構うことなく上体を揺さぶってフェイントをかける。前傾の圧力を増し、相手ディフェンダーとの間にギャップを作ってゴール左寄りへシュート。FC東京U-18MF武藤嘉紀(3年)が放った力強い弾道は、GKの手をかわしてネットを揺らした。

 「決めるなら彼かなと思っていた」というのは、観客ではなく倉又寿雄監督のコメントだ。1対1の強さを重んじるF東京U-18でもダントツに体の強さが目立つ。1点リードで迎えた後半、京都サンガF.C.U-18が長身FWを投入して1トップから2トップに変更しようとした。結果的に、京都は交代直前に退場者を出したため1トップのまま戦ったが、F東京の倉又監督は「2トップにしてきたら、武藤(の位置)を下げようと思っていた。(相手の方が大きいけど)彼なら十分にやれる」と話した。指揮官の言葉から、攻守両面にわたる彼への絶大な信頼がうかがえる。

 パワフルな仕掛けは、武藤にとって最大の武器となっている。武藤は「パスがうまくつながらなかったので、強引にドリブルで仕掛けていった。前半はチャンスを決め切れなかったが、失点せずに戦いきれたので、後半はやってやろうと思っていた。ボールをもらった瞬間にゴールが見えていたし、相手GKも(ボールサイドに)偏っていたので、(逆サイドに)流し込めるというイメージがあったので、最初から決めていた」と持ち味を存分に生かした決勝弾を振り返った。

 横浜FMユースとの決勝戦には、大会初の連覇がかかる。ゲームメーカーのMF佐々木陽次は準々決勝の柏U-18戦であごを骨折し、ファイナルの舞台には立てない。「出られない佐々木に良い報告をするためにも優勝カップを掲げたい」。仲間への誓いを胸に、武藤は立ちはだかる相手を吹き飛ばして連覇への道のりをひた走る。

(取材・文 平野貴也)

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