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優勝へのターニングポイントはヨルダン戦のドロー、ザック「一丸となった瞬間」

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 2大会ぶり4度目のアジア杯優勝を果たした日本代表が31日、成田空港着と関西空港着の2便に分かれて帰国した。成田空港で約500人のサポーターに出迎えられたアルベルト・ザッケローニ監督は成田市内のホテルで記者会見を行い、「たくさんの人に迎えてもらえて、最高にうれしかった。こうしたサポーターからの愛情をエネルギーの源として、これからもやっていきたい」と感謝の言葉を述べた。

 「決勝から2日たち、日本がどうして勝てたのかをふと考えた。試合内容もそうだが、カギになったのはチームが一丸となれたことだと思っている」

 そう振り返った指揮官は「一丸となった瞬間」として「ヨルダン戦の引き分けのあとからシリア戦にかけての期間」を挙げた。9日の初戦でヨルダンと1-1で引き分けたチームには危機感が生まれ、続く13日のシリア戦に向け、11日夜に選手同士でミーティングを行うと、MF長谷部誠やMF遠藤保仁が中心となり、「日の丸の誇りを持ってチーム全員で戦っていこう」と話し合った。

 キャプテンの長谷部は「最初は若い選手にお客さん感覚のところがあった。自分たちが戦うという心構えが正直なかった」と話していたが、これを機に控え選手にも代表の一員としての自覚が生まれ、チームは団結していった。

 相次ぐケガ人や出場停止に苦しめられたが、そのたびに新たなヒーローが誕生した。「ここまでベンチスタートの選手が途中からピッチに入って結果を出すチームは見たことがない」と話すザッケローニ監督は「シリア戦の前のウォーミングアップを見ていて、控えの選手たちがやってくれると確信した」と言う。1つになったチームはその後も開催国・カタールや宿敵・韓国などとの厳しい試合を乗り切り、アジアの頂点へ駆け上がった。

 ケガでチームを離脱したDF槙野智章、DF酒井高徳、MF松井大輔、MF香川真司のほか、出場機会のなかったDF森脇良太、GK権田修一を含め、選手全員の貢献を強調する指揮官は「選手だけでなく、他のスタッフ、用具係やトレーナー、テクニカルスタッフまで、関係者のすべてが欠かすことのできないチームだった。素晴らしい3週間を過ごせた」と強調。「勝つと、選手や監督がクローズアップされがちだが、スタッフを含めて全員のチームスピリットが素晴らしかった」と、裏方を含めたチーム関係者全員で勝ち取った優勝だと力説した。

 「結果」と「成長」の両立を目指したアジア杯。その目的は十二分に果たせたと言っていい。今後は7月に南米選手権(コパ・アメリカ)を控え、9月にはいよいよW杯アジア3次予選も始まる。

 「2011年は大切な年。そのスケジュールの中で結果と成長を追求して、チームを伸ばしていきたい。結果を出すにはチームの成長が不可欠。我々の最大の目標はW杯予選突破にある。結果と成長を求めながらやっていきたい」

 アジア王者となって凱旋帰国したザックジャパン。それでも、指揮官の基本方針はブレることなく、ブラジルへの道を一歩一歩、着実に進んでいく。

[写真]数多くのサポーターが出迎えた成田空港で花束を贈られるザッケローニ監督

(取材・文 西山紘平)

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