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相馬新監督、初陣勝利に「ほっとした」。憲剛「追求すればもっと良くなる」

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[3.5 J1第1節 川崎F2-0山形 等々力]

 上々のスタートだ。新監督を中心に笑顔のハイタッチがベンチ前で繰り広げられる。相馬直樹新監督を迎えた川崎フロンターレが初陣で2-0勝利。昨年はJFLの町田を指揮し、Jリーグクラブは初めての指揮となる青年監督は「まず、ほっとしています。成し遂げてくれた選手に感謝したい」と安堵の表情を見せた。

 開幕から“相馬色”が発揮できた。これまでの川崎Fはジュニーニョやレナチーニョ、鄭大世ら強力なストライカーを中心としたカウンターサッカーだったが、就任以来、パスサッカーを掲げてチームを改革した。この日の山形戦ではゴールのシーンこそカウンターだったが、ショートパスで攻めようとする意識が見られた。

 立ち上がりは相手の出足の速さに押されたこと、また山形のハイボール戦術に苦しんで主導権を奪われたが、前半の途中から少しずつ自分たちのサッカーができるようになった。前半34分にFW矢島卓郎の先制点が決まってからは、それが顕著になった。相馬監督も「最初に点を決めてから、イメージに近いようなゲームができた」と開幕戦にしては、まずまずだったという評価を下した。

 MF中村憲剛も「相馬さんのやりたいことを本番でも表現しようと入った。チャンスの回数も多かったし、守備もコンパクトにできた。今までのフロンターレは、前の選手が攻めて、後ろの選手が守るという前後が分かれたサッカーだったけど、今はどんどん後ろからも出ていくサッカーがやれている。追求すればもっと良くなるし、見ている人も面白いと思う」と“相馬流”を説明し、こちらも今後の可能性に言及した。

 新しい川崎Fのサッカーの、その最たるシーンが前半38分のMF登里享平が決めたチーム2点目だという。中央でハイボールをFW矢島卓郎が競って憲剛に落とし、そこからのパスで登里が抜け出して決めたゴールだが、憲剛は「ヤジが(ボールの落下地点に)入ったところで、僕が走った。僕が走ったからヤジが落としてくれたし、ノボリもスペースに走っていった。意識が合ったというか、シンクロがあった。相馬さんがやりたい部分は、ああいう形のもの。連動してのゴールで、あれは可能性が広がる」と手応えを口にした。

 とはいえ、もちろん満足はしていない。ショートパスはつなげるが、バイタルエリアでのコンビネーションに課題を残した。相馬監督も「欲を言えば、3点目、いやそれ以上取れた」と攻め込みながらも大量点が奪えなかったことを指摘。司令塔の憲剛も「開幕戦という独特の雰囲気はあるけど、もっと勇気を持って行かないといけなかった。欲を言えばゴールに向かうプレーをしないといけない」と課題を挙げた。

「もっと攻撃的にやりたい。もっともっとサポーターを沸かせるような試合をしたい」と相馬監督。この日は山形が相手だったが、より強い相手と対峙したときに、どれだけショートパスをつなぐサッカーができるのか、それが一つの判断材料となるだろう。次戦は13日に横浜FMとの“神奈川ダービー”が控えており、それを試すには絶好の相手といえる。いずれにせよ、相馬フロンターレは幸先の良い船出となった。

[写真]川崎F相馬新監督と握手するMF中村

(取材・文 近藤安弘)

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