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思いよ届け、カズ「微力ながら日本中を明るくできたらと」

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[3.29 東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ 日本代表2-1JリーグTEAM AS ONE 長居]

 これがキングのキングたるゆえんだ。カズが決めた。カズが躍った。4万613人の大観衆が“カズ劇場”に酔いしれ、被災地へ、日本全国へ勇気と元気を送った。

 0-2の後半17分、FW三浦知良(横浜FC)がピッチに入った。「あんまり気持ちを強くすると、なくなるから。落ち着いて、チャンスが来たらと思っていた。前半からサポーターがカズコールをくれていた。期待されているのを感じていたし、それに応えたいと思っていた」。サポーターの願い、日本中の思いが結実した。

 クライマックスは後半37分だ。GK川口能活からのロングボールをDF田中マルクス闘莉王が頭でそらす。DFラインの背後に抜け出したカズは右足ダイレクトで前に出てきたGK東口順昭の頭上を抜いた。揺れるゴールネット。スタジアムのボルテージが最高潮に達する中、ゴール裏のサポーターに向かったカズダンスを披露した。

「ちょっと迷ったけど、暗くなってはいけないのかなと。ゴールも、ゴールしたときのカズダンスも、期待されているのは分かっていた。日本中を明るくできたらいいなと微力ながら思っていたので、やらせてもらいました」

 Jリーグ選抜のストイコビッチ監督は「あの年齢でもモチベーション高く、素晴らしいゴールを決めた。本当に素晴らしかった」と手放しで称え、ゴールの瞬間、思わずベンチから拍手を送った日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督も「私はゴールを決められるのは本当に嫌いだが、私のキャリアの中でゴールを決められてうれしかったのは今日が初めてだと思う」と称賛する。日本サッカー界を引っ張ってきた44歳の最年長Jリーガーが見せた魂のゴールに、敵も味方も関係なかった。

「あまり年齢のことは言いたくないけど、どこに行っても44歳と言われる。震災で苦しんでいる人もあきらめてないし、自分もあきらめてないし、あきらめたくない。挑戦し続けたいし、その気持ちでグラウンドに立って、ゴールを取ることができた」

 試合後は両チームの選手が一緒になってスタジアムを一周し、ファン・サポーターに感謝の思いを伝えた。「素晴らしい瞬間だった。僕自身がいろんな方から勇気をもらっている」。ゴールという最高の形で届けた激励のメッセージ。「僕らはサッカーで役割を果たして、メッセージを送り続けることが大事だと思う。これがスタートというか、今日をスタートにこれからもずっと続けていかないといけない」。サッカー界が一つになった歴史的な1日。この歩みを止めないことが復興への力になる。

(取材・文 西山紘平)

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