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[被災地に希望を ベガルタ戦士の誓い]vol.1_FW柳沢敦

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 東日本大震災による被害を受けたベガルタ仙台は4日、千葉・市原市内でキャンプをスタートさせた。ゲキサカでは今回、仙台イレブンの想いを取材。第1回は京都から新加入した元日本代表FW柳沢敦です。加入初年度にいきなり主将を任されたベテランは、今年はキャリアの中でも重要な1年になると強調し、被災した宮城の、東北の人々を勇気づけるプレーを約束した。

以下、一問一答

―千葉に移動して最初の練習。リーグ戦再開に向けて新たなスタートとなりました。
「被災地の環境から比べると、僕たちはぜいたくな環境でやれています。今、ここでやっているのは再開するJリーグのため。そして被災地のみなさんのためにここでしっかり準備をしていきたいです」

―ボランティア活動を行っていましたが、まだまだ被災地が大変な状況の中、仙台を離れてここに来るかどうか迷いもあったと聞きました。
「選手も監督も、より地元に近いところで、(被災した)みなさんと同じ気持ちでやれたらと思ったのですが、サッカーで総合的なことを考えると、トップのコンディションに戻すことが必要だし、不安はあるけど、こうせざるを得なかったと思います。僕たち選手は、サッカーを通じてみなさんの気持ちを少しでも明るくすることしかできない。それが役目と思ってしっかり準備をしていきたいです」

―キャプテンとして、震災から3週間のチームの様子をどう感じていましたか?
「これだけ大きな被害をもたらした震災があって、最初はみんな動揺があったのですが、時間がたつにつれて落ち着いてきました。これからは、被災地のチームだからこそできることもあると思います。テレビ画面を通じてだけではなく、できるだけ近くにいながら、長期にわたって何かできればと思っています」

―今年は今までのキャリアの中でも特別な年になる?
「間違いなくそういった年になる。どうやってこのあと、やっていかないとけないかというのは、誰にも分からない部分もあるけど、必死にやることが重要だし、プロですからプラスアルファのところを出して行ければと思います。(仙台は)地域に支えられながら育ってきたクラブであり、Jリーグですから、今度はみなさんを支えてあげられるような存在になっていなくちゃいけないと思います。長い時間をかけてやっていかないといけないと思います」

―ところで、地震の当日はどこにいましたか?
「仙台の家にいました。家族(妻、子ども)は家で一緒で無事でしたが、一瞬の揺れの恐怖は今も忘れません。家の周りでは大きなパニックは起きていなかったけど、その後、報道で見る出来事はすさまじいものがありました。大変なことが起きてしまったという印象でした」

―今年1年間は仙台、被災者とともに戦う1年になると思います。
「すべての人たちにパワーを送れるとは思わないですが、ベガルタ仙台を今まで応援して下さった方々は、僕たちが頑張ることによって、これからのエネルギーを生み出せるようになってもらえればと思います」

―被災地のみなさんを勇気づけるために、サッカーで何か約束や目標があれば教えてください。
「約束というよりも、みんなで本当にこの状況を乗り越えていかないといけないし、みんなが支えようと日本中、世界中が見守ってくれていますが、人、街、僕たち自身が踏ん張らないといけません。難しい困難な状況に立たされていると思いますが、ここで踏ん張れるようにみんなでやっていきたいです」

(取材・文 矢内由美子)

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