beacon

ザック明言、家長はボランチ!「かなり“いい所”までいくと思う」

このエントリーをはてなブックマークに追加
 かつて“和製メッシ”とも言われた天才ドリブラーは、どこのポジションで起用されるのか。その答えがようやく明らかになった。アルベルト・ザッケローニ監督は4日、スペインリーグのマジョルカで活躍するMF家長昭博について、「できれば彼をセントラルミッドフィルダーに入れてみたいという思いがある。彼の能力からいくと、十分にできる能力があると思っている」といわゆるボランチで起用する意向を明言した。

 家長といえば、巧みなドリブル突破が魅力の選手。チームでも攻撃的MFを任されている。アンダー世代の代表では、トップ下やウィンガーとしても起用されてきた。だが、ザッケローニ監督は家長が持つボールキープ力やパスセンスにも着目した。3月に行われたJリーグ選抜とのチャリティーマッチで約4年ぶりに代表復帰。そのときの練習では左FWやボランチで起用され、試合も左FWだった。ボランチはあくまでも“人数あわせ”で、実際はFWとしてカウントされていると思われていた。だが、“ザックの考え”は違った。

 指揮官は「慣れていないので、最初は大変かもしれないが、資質としては十分にやれる。彼がどう考えてくれているかは分からないが、同じことを考えてくれていれば、かなり“いい所”までいくと思う」と最大級の期待を寄せる。日本代表では、遠藤保仁と長谷部誠が不動のボランチとして君臨するが、いわゆるゲームメイカータイプのボランチ、つまり31歳となった遠藤の後継者として、家長を指名した形だ。G大阪でチームメイトだった遠藤は「慣れればぜんぜん、問題ないと思う。アキ自身もいろいろなポジションをやって成長していけばいい」と話した。

 とはいえ、家長のボランチは初めてではない。大分に在籍していた2009年にはボランチでレギュラーを獲得。C大阪でも一時期、プレーしていた。本人も、ボランチ起用に大きな戸惑いはない。「そんなに固定観念はないですね。どのポジションでも、たとえばFWをやろうが、どこで出ようが自分のプレーをやるだけです」とさらり。

 そして「チームとして、ボランチがどう動かないといけないとか、どういう動きが必要となるのか、練習でやっている。その中で自分の色を出せれるように考えてます」と早くも自分なりのボランチ像を描こうとしている。

 この日の午前練習では、全体練習の後、選手がクールダウンをしているときにザッケローニ監督から呼び寄せられ、アドバイスを受けた。「サッカーの戦術的な話とか、いろいろですね」と家長。午後練習では主に攻撃面の練習が行われたが、戦術練習で家長はすべてボランチの位置に入り、長谷部とコンビを組んだ。

「自分ができることをやるだけ。いつもやっていることを出せたらいい。しっかり練習できてるし、コンディションはいいです。楽しく、勝てればいい。自分自身、グラウンドで楽しめたらいい」

 ボランチには遠藤と長谷部という“高い壁”が並ぶが、家長はあくまでも自然体だ。7日のチェコ戦で先発するかどうかはまだ分からないが、この半年間、世界最高峰のスペインで経験を積んできた。天才レフティーがボランチとして、成長した姿を披露する。

(取材・文 近藤安弘)

TOP