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F東京・椋原が初の左SBでプロ初ゴール、「みんな褒めてくれなかった」

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[9.10 J2第27節 F東京6-1京都 味スタ]
 FC東京のDF椋原健太が京都戦でプロ初ゴールを決めた。1-1の前半36分、カウンターから左サイドへの縦パスに抜け出し、ドリブル突進。やや遠目の位置だったが、右足を振り抜いてゴール右上に突き刺した。記念すべき一発は逆転ゴールで、結果的に決勝弾。そして、チームの6発大勝の“号砲”となった。
「左サイドバックは、景色が違いました。ゴールも決められて、初物尽くしでした。左サイドバックで点を取るなんて、たぶん、誰も思わなかったと思う。逆転ゴールになって、チームに貢献できたかなと思います」
 本人もコメントしたが、まさに“初物尽くし”だった。本職は右SBだが、DF中村北斗の出場停止に伴い、プロ入り後初めて左SBで先発した。京都の3トップを封じるべく、守備力を買われての抜擢となった。「めっちゃびくびくしてました」と最初は緊張していたが、「中に切れ込んでシュートを打とうと思って試合に入った」との言葉通り、チャンスは逃さなかった。
 初めての左SBだったが、ゴール以外もまずまずの動きを見せた。不安だった左足のクロスも悪くなかった。椋原は「相手との距離感を考えた。相手を振り切ったタイミングでクロスを入れようと。そのほうが余裕を持って蹴れるんで」と工夫していたことを明かした。
 2008年にF東京U-18から昇格し、4年目でプロ初ゴールをゲット。今季は悔しい思いをし続けていただけにより一層、嬉しかった。1年目から出場機会を得るなど順調に活躍の場を増やし、昨季は守備的MFに怪我人が多かったため、DF徳永悠平がボランチに回ったことでリーグ戦24試合を経験した。
 しかし、今季は怪我人が戻り、徳永が右SBに君臨。椋原は控えに回ることになった。前節の栃木戦で、DF今野泰幸が日本代表の活動で不在となり、徳永がCBに回ったことで、5月22日の湘南戦以来16試合ぶりに右SBで先発をつかんだ。そしてこの日、左SBながら2試合連続の先発。本人もびっくりのプロ初ゴールまで記録してみせた。
「みんな『あれはGKは捕れたでしょ』とか言って、みんな褒めてくれなかった。よくやったぞと心の中では思っていてくれてると思うんですが……」と椋原は苦笑いを浮かべつつ、「左SBは初めてでしたけど、結果が出たので少し自信になりました」と試合前に見せた不安げな表情はなく、笑顔が弾けた。
「この勝利を弾みに勝っていきたい。1戦1戦大事にして、しっかりと勝つことを心がけたい」と椋原。ユース時代はJユース選手権で日本一を経験し、各年代の日本代表も経験してきた逸材。実はロンドン世代で、世界と戦う同年代を羨ましく思っているが、今はF東京のJ1復帰だけを考えている。生え抜きSBはたとえ出番が少なくても、一瞬一瞬をチームに捧げる。
(取材・文 近藤安弘)

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