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「新人離れのプレー」、ボランチ&SBで奮闘の柴崎「金メダルは重たかった」

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[10.29 ナビスコ杯決勝 浦和0-1(延長)鹿島 国立]

 19歳の黄金ルーキーが、120分間フル出場で鹿島アントラーズの15冠目に貢献した。「初体験だったので、どういう形であっても、勝って優勝できたのはうれしいし、チームみんなで獲ったものだと思う。個人としてというより、チームとして勝てたことがうれしかった」。U-22日本代表候補MF柴崎岳は平静な表情にも充実感をにじませた。

 ボランチで公式戦6試合連続の先発出場を果たすと、DF青木剛が退場した後半35分からは右SBでプレー。本職とは異なるポジションながら果敢なオーバーラップからクロスバー直撃のシュートを放つなど、延長戦に入っても運動量が落ちることなく、国立のピッチで躍動した。

「10人対10人の中でバランスを崩さずに、SBのポジションから攻撃参加を考えた。CBとうまく話しながらハッキリしたプレーをしようと思った。攻撃でも何回かいい場面をつくれたし、守備でも戻るところは戻って相手の攻撃を遅らせることができた。SBとして臨機応変にやることができたと思う」

 入団当初は本職のボランチではなく、右SBでプレーすることもあった。先発でダブルボランチを組んだMF小笠原満男は柴崎について「紅白戦でSBをやっているときはボランチをやりたそうな顔をしていたけど、そういうのが生きたと思う」と指摘。「器用だし、頭がいい。チームのためにやれたと思う」と、ルーキーの奮闘を称え、FW田代有三も「(柴崎)岳はSBでも機能していた。新人離れのプレーをしていた」と驚嘆した。

 柴崎は「どのポジションでも高いレベルでやるのが鹿島。それこそがチームの力だと思う。だれがどのポジションでやっても、高いレベルでできる」と胸を張る。脈々と受け継がれる常勝軍団としての誇りと魂。小笠原は「優勝っていいものだし、伸びていくうえでタイトルを経験する、しないで全然違う」と、さらなる成長に期待していた。

「優勝の実感はあまり沸かない部分もあるけど、優勝カップや金メダルという優勝者しか味わえない部分を味わって、優勝したんだなと思うところもあった。初めてかけた金メダルは重たかった」。静かにタイトルの喜びをかみ締めた柴崎。「でも、まだまだ獲れるタイトルはある。うれしい気持ちには少しだけ浸って、天皇杯もあるし、Jリーグも残っている。気を引き締めてやっていきたい」と、鹿島の一員らしく、早くも視線を次に向けていた。

(取材・文 西山紘平)

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