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ザックジャパン、就任17戦目で初黒星…22年ぶりの平壌で0-1敗戦

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[11.15 W杯アジア3次予選 北朝鮮1-0日本 平壌]

 ザックジャパン、平壌で初黒星……。W杯アジア3次予選は15日、各地で第5戦を行い、日本代表は敵地で北朝鮮代表と対戦し、0-1で敗れた。すでに最終予選進出を決めている日本はメンバーを大幅に入れ替え、過去2分1敗と勝利のない平壌で、すでに3次予選敗退の決まっている北朝鮮に挑んだが、前半から大観衆の後押しを受ける北朝鮮に押し込まれる苦しい展開。後半5分にMFパク・ナムチョルに先制点を許すと、終盤は3-4-3にシステム変更し、北朝鮮に退場者が出て数的優位に立ったが、最後までペースをつかめず、0-1のまま終わった。
 昨年10月8日のアルゼンチン戦(1-0)で初陣を飾ったザッケローニ監督は、就任から国際Aマッチ16試合連続の無敗記録を更新していたが、就任17戦目で初黒星。岡田武史前監督が指揮していた昨年6月24日の南アフリカW杯・デンマーク戦(3-1)以降、国際Aマッチ20試合連続無敗(13勝7分、PK戦は引き分け扱い)の代表史上歴代1位の記録もストップした。

 日本は11日のタジキスタン戦(4-0)から先発6人を変更。GK西川周作が3試合ぶりにゴールを守り、最終ラインではDF栗原勇蔵が8試合ぶりに先発し、3試合ぶり先発のDF伊野波雅彦が左SBに入った。中盤ではMF細貝萌も3試合ぶりに先発。2列目の右サイドでFW清武弘嗣が国際Aマッチ初先発を飾り、1トップではFW前田遼一が8試合ぶりに先発した。
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 22年ぶりに平壌に乗り込んだ日本代表。約5万人収容の金日成スタジアムはほぼ満員に詰め尽くされた。試合前の君が代でさえ、大ブーイングにかき消され、試合中はメインスタンドに色とりどりのパネルで人文字をつくり、北朝鮮の選手を後押しする。不慣れな人工芝、完全アウェー。かつてない雰囲気の中、試合前から表情が強張る選手もいた日本は終始、思うようにプレーできなかった。

 試合開始10秒、北朝鮮はロングボールからFWチョン・イルグァンがいきなりシュートを放つ。伊野波が体に当て、CKに逃れたが、その後も北朝鮮に押し込まれた。前半6分にはチョン・イルグァンからパスを受けたFW鄭大世が振り向きざまに左足でミドルシュート。ここは何とかGK西川がセーブした。

 球際で激しく競り合う北朝鮮に対し、日本は中盤での不用意なミスから速攻を浴びるなどリズムに乗れない。前線までなかなかボールを運べず、前半18分、MF中村憲剛がPA外からミドルシュートを狙い、ようやく初シュートを打ったが、大きく枠を外れた。

 北朝鮮は前半26分、PA外正面の絶好の位置でFKを獲得したが、MFパク・ソンチョルのキックはGK西川が落ち着いてキャッチし、ピンチを逃れた。攻守にリズムの出ない日本は前半30分ごろ、ザッケローニ監督がMF長谷部誠と中村をタッチライン際まで呼んで指示を送る。中村が中盤のアンカーに下がり、前めに長谷部とMF細貝萌が位置する逆三角形に中盤の構成を変え、高い位置からプレッシャーをかけにいった。

 しかし、流れは変わらない。北朝鮮は前半35分、鄭大世に代えてMFパク・ソンチョルを投入。すると同41分、右クロスからそのパク・ソンチョルがダイビングヘッドでゴールを襲う。同45分にも右サイドのDFリ・グァンヒョクのアーリークロスからMFパク・ナムチョルがヘディングシュート。ヒヤリとさせられた日本だが、シュートはいずれも枠を外れ、難を逃れた。

 日本は前半ロスタイムに長谷部が右足でミドルシュート。ようやく2本目のシュートを打ったが、力なくGKにキャッチされ、前半を折り返した。

 後半最初のチャンスは日本がつくった。後半2分、この試合初めてのCKを獲得。中村の右CKにニアサイドで前田が合わせたが、ヘディングシュートはゴール右に外れる。すると同5分、ついに均衡を破られた。

 北朝鮮はハーフウェーライン付近のFKからDFリ・グァンチョンが前線にフィード。PA内で栗原と競り合ったFWパク・クァンリョンが頭で落とすと、MFパク・ナムチョルがDF駒野友一に競り勝ち、ヘディングシュートをゴールネットに叩き込んだ。大歓声に包まれる金日成スタジアム。異様な雰囲気の中、北朝鮮は勢い付き、後半7分にもパク・ソンチョルからパスを受けたパク・クァンリョンがシュートを打ったが、GK西川がキャッチした。

 後半14分にはファウルを受けた前田がパク・ソンチョルと小競り合いになり、両者に警告が出るなど試合は激しさを増す。日本は同16分、前田の落としからFW岡崎慎司が左足でミドルシュート。ようやく際どいコースを突いたが、GKリ・ミョングクの好セーブに阻まれた。

 日本は後半17分、初めての選手交代。中村に代えてDF内田篤人を投入し、システムを3-4-3に変更する。右から栗原、DF今野泰幸、伊野波の3バック、中盤の右に内田、左にDF駒野友一が張った。過去の親善試合ではなかなか結果が出てこなかった“伝家の宝刀”を切ったザッケローニ監督だが、その後も決定機をつくれない。

 後半22分、駒野のミドルシュートは枠を外れ、同29分、清武の右FKに岡崎がヘディングで合わせたが、ゴール上に浮いた。日本は同32分、前田に代えてFWハーフナー・マイクを投入し、2枚目のカードを切る。すると同33分、チョン・イルグァンが2枚目のイエローカードを受け、退場処分。日本が数的優位に立ち、終盤に入った。

 日本は後半34分、内田が積極的にミドルシュートを狙うが、GKがセーブ。同40分には清武に代えてFW李忠成を投入し、最後のカードを切った。李は3トップの右に入った。

 最後の反撃に出る日本。後半42分、内田の右クロスからハーフナーが高い打点のヘディングで合わせたが、シュートはGKにキャッチされる。同43分には中央から細かくつなぎ、長谷部のスルーパスを受けたハーフナーが中央に折り返し、李がゴールネットを揺らしたが、ハーフナーの位置がオフサイド。4分間のロスタイムでも最後までゴールを奪うことができず、0-1で敗れた。

 就任17戦目で初黒星となったザッケローニ監督は試合後のインタビューで「厳しい環境で、向こうはフィジカルを前面に押し出すサッカーをしてきた」と厳しい表情で振り返った。すでに3次予選敗退が決まっている北朝鮮だったが、「想像するに、向こうは対日本というところで何とか勝利したいという思いで来た。その気持ちの表れがこれだけイエローカードをたくさんもらっても、何としてもこの試合だけやろうということだった。相手にとってはこの試合だけをやろうという将来のない試合。向こうはこの試合だけに懸けていた。イエローカードをたくさんもらっても、うちに勝ちにきた」と興奮した口調でまくしたてた。

 今野は「90分を通して自分たちのサッカーができなかった。押し込まれて、失点して、すごく悔しい。今日は90分、ほぼ相手に支配されて、情けない」とうなだれる。長谷部は「今日の負けを次に生かして、教訓にしていきたい。最終予選はもっと厳しい戦いになる。次につなげたい」と必死に前を向いた。3次予選初黒星となったザックジャパンの年内の活動は終了。来年2月29日に3次予選最終選のウズベキスタン戦(豊田ス)をへて、来年6月にはいよいよアジア最終予選が幕を開ける。


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