beacon

[選手権]日本一への最難関突破!市立船橋が清水商との伝統校対決制す!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.3 全国高校選手権3回戦 清水商0-3市立船橋 市原]

 伝統校対決は市船が制す! 第90回全国高校サッカー選手権3回戦が3日に各地で行われ、市原臨海競技場の第2試合では全国優勝4回の市立船橋(千葉)と同3回の清水商(静岡)の伝統校同士が激突。市立船橋がDF米塚雅浩(3年)の先制ゴールなどによって3-0で勝ち、04年度以来7年ぶりの8強進出を決めた。市立船橋は5日の準々決勝で矢板中央(栃木)と対戦する。

「(2回戦の後選手に、伝統校の)清商は背負っているものが違う。『ここがヤマだと思っている』と伝えました」。市立船橋の朝岡隆蔵監督が勝ち上がるための最重要な一戦と唱えた大一番。FW岩渕諒をはじめ、MF菅野将輝、MF杉山丈一郎、左SB鈴木潤(全て3年)と負傷のために初戦の先発を回避した4選手を全て先発起用してきた市立船橋に対して、清水商は攻撃のキーマンであるMF遠藤維也(3年)とFW佐野翼(2年)が怪我などで欠場。先発にDF登録の7選手の名が並んだように攻撃に問題点を抱えたまま大一番を迎えた清水商は、攻めきることができずに苦しい戦いとなった。先制したのは岩渕が「(初戦を欠場して)きょうの試合にかける思いは強かった。気持ちの勝負になると思っていた」という市立船橋だ。前半13分、杉山の左CKをファーサイドから折り返すと、相手の小さなクリアを拾った米塚が右足でゴールへと蹴り込む。

 先制した市立船橋は11年国体優勝メンバーの1年生MF磐瀬剛が清水商のエースFW風間宏矢主将(3年)を密着マーク。風間にボールを触られ、展開される場面もあったが、それでも局地戦ではチーム一とも言えるパワーで対抗。注目選手に決定的な仕事をさせない。また種岡岐将小出悠太の2年生CBコンビも攻撃力の落ちた清水商をゴールへ近づけない。

 清水商は後半開始からチーム一のスピードを誇る2年生MF吉田雄介を投入して前への勢いを強めようとしたが、試合を支配していたのは市立船橋の方。岩渕が強引なドリブルで最終ラインを破り、7分にはDF2人を置き去りにしたFW和泉竜司主将(3年)が決定的な左足シュートを放ち、11分にはゴール前のこぼれ球を拾った和泉の右足シュートがゴール左ポストを叩いた。

 そして14分だ。市立船橋は直前に投入されたばかりのDF渡辺健斗(2年)が右サイドをえぐってゴールライン際でFKを獲得。菅野のクロスを小出が頭でゴールへと突き刺して2-0とした。攻めるしかない清水商は左サイドからMF中田智樹(3年)がゴール前に飛び込み、31分には風間を起点に右サイドを崩して吉田がニアサイドで合わせたが、決定的な一撃はゴール右へ。U-18日本代表候補GK積田景介(3年)ら堅守・市船の牙城を崩せなかった清水商に対して市立船橋は、37分に杉山と菅野のコンビで3点目を奪ってダメ押した。

 全国高校総体では過去5年で3回優勝している市立船橋だが、選手権では準優勝した04年度を最後に全国舞台での勝利がなかった。94年度の日本一メンバーで今年就任した朝岡監督に植えつけられた勝者のメンタリティーは確実にチームの強さへと結びついてきている。今年は全国総体予選で7年ぶりに千葉制覇を果たしたが、全国大会では初戦敗退した。ただ今大会では残り4分から逆転した長崎日大との初戦に続き、大一番での集中力を見せ付けて快勝。和泉は「プリンスリーグでは最後に追いつかれたり、気の緩みがあった。でも今は球際の強さだったり、失点しないところだったりを出せてきている」。これに対して朝岡監督も「(メンタリティーは)大丈夫だと思います」。

 この日はOBの柏レイソルFW北島秀朗が試合前にサプライズでロッカールームを激励。過去選手権で2度戦って一度も勝ったことのない清水商との大一番を前に「5、6点取って勝て。誰が取るんだ?」という質問を投げかけると、5、6人の選手が手を上げて小出は約束どおりにゴールを決めた。12年度限りで庵原高と統合する清水商に選手権で勝つチャンスは残りわずか。3-0の快勝は「きょう負けたら、一生市船が清商に勝てないままになる可能性がある」(磐瀬)という名門の意地でもあり、偉大なOBたちにとって悲願の勝利でもあった。試合後、北島から「勝ってくれてありがとう」と感謝されたイレブンは誇らしげな表情。ただ、今後も名門に負けは許されない。青森山田や山梨学院、作陽など優勝候補が姿を消している混戦の大会だが、名門・市立船橋は揺るがずに日本一を勝ち取る。

[写真]前半13分、市立船橋は米塚(左)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2011

TOP