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[選手権]名門復活!ロスタイム同点劇の市立船橋が延長V!!

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[1.9 全国高校選手権決勝 市立船橋2-1(延長)四日市中央工 国立]
  
 市立船橋が大逆転で全国制覇! 第90回全国高校サッカー選手権決勝が9日、東京・国立競技場で開催され、02年度以来5度目の日本一を目指す市立船橋(千葉)と91年度以来となる優勝を目指した四日市中央工(三重)が激突。前半1分にFW浅野拓磨(2年)の6試合連続ゴールで四日市中央工が先制した試合は、後半ロスタイムに市立船橋FW和泉竜司主将(3年)が同点ゴール。さらに延長後半5分に和泉の決勝ゴールによって勝ち越した市立船橋が2-1で勝ち、9年ぶり5回目の全国制覇を成し遂げた。

 累積警告で大黒柱のMF國吉祐介主将(3年)が出場停止の四中工は代役としてMF生川雄大(3年)を先発起用。4-4-2システムのGKは中村研吾(1年)で4バックは右から川本将太郎(2年)、坂圭祐(2年)、西脇崇司(3年)、藤山智史(2年)。中盤は生川と松尾和樹(2年)のダブルボランチで右が寺尾俊祐(3年)、左が田村大樹(2年)。2トップはともに今大会6得点で得点ランキング首位に並ぶ浅野と田村翔太(2年)が先発した。

 一方、市立船橋は準決勝で負傷した1年生MF磐瀬剛がベンチスタート。4-3-2-1システムのGKはU-18日本代表候補の守護神、積田景介で4バックは右から米塚雅浩(3年)、種岡岐将(2年)、小出悠太(2年)、鈴木潤(3年)。中盤は松丸龍(3年)を中心に右が渡辺健斗(2年)、左が杉山丈一郎(3年)の3ボランチ。前線に張る岩渕諒(3年)の後方に和泉と菅野将輝(3年)が構える布陣となった。
 
 伝統校対決なった決勝のスコアは電光石火とも言える先制ゴールで動いた。前半1分、四中工は右CKを獲得すると田村大のキックをこの日キャプテンマークをつける西脇が頭でつなぎ、ゴールエリアから田村翔が決定的な右足シュート。このこぼれ球を浅野が押し込んでエースストライカーの今大会7得点目のゴールで四中工が先制した。

 セカンドボールを生川や松尾に拾われるなど、序盤なかなか人数をかける攻撃のできなかった市立船橋だが、鈴木のインターセプトからのクロス、米塚の鋭い攻撃参加で四中工ゴールを脅かす場面もつくる。24分にはCB小出が杉山のパスから一気に左サイドをえぐる場面もあった。

 だが、西脇と坂中心にゴール前で堅い守りを見せる四中工は得点を許さない。逆に寺尾のドリブル突破や2トップを起点とした攻撃で追加点を狙った。ただ先制された後、本来の安定した守りを取り戻した市立船橋は積田や種岡が要所を締めて相手を勢いづかせなかった。
  
 追いつきたい市立船橋は後半、セカンドボールを拾う回数を増やして四中工を押し込む。6分には右中間でボールを持った菅野がディフェンスラインのギャップを突くスルーパス。ゴールライン際で岩渕がキープし、最後は米塚が飛び込んだ。14分にも菅野のスルーパスから米塚が右サイドをえぐり、24分には杉山がドリブルシュートを放った。

 一方の四中工はワイドからの幅広い攻撃で押し返す。川本が攻撃参加する回数を増やすと22分には川本のアーリークロスに決定的な形で田村翔が飛び込んだが、押し込むことができない。浅野や田村翔が前を向いた際は観衆を沸かせていたが、粘り強い対応を見せる市立船橋守備陣に穴を開けることはできなかった。

 市立船橋は後半24分に菅野に代えてドリブラーのFW池辺征史(3年)を投入。29分には杉山から右サイドでボールを受けた岩渕が体勢を崩しながらも右足を振りぬく。ボールはGK中村の右手の先を抜けたがゴール左ポストの左外へ。ただ市立船橋はここから執念の反撃を見せる。局面の攻防戦で上回るとセットプレーの数を増やして、ゴールへなだれ込もうとした。だが四中工はロングボールやドリブルから何とかゴールをこじ開けようとする市立船橋からゴールを死守。42分には生川に代えて川島裕介(3年)を投入して逃げ切りを図ると、43分には右CKから枠を捉えた岩渕の決定的なヘディングシュートを中村がビッグセーブでゴールからかき出した。

 それでも市立船橋は2分が提示されたロスタイム投入直後に「ミラクル同点劇」を巻き起こす。杉山の右CKから混戦のゴール前で最後は和泉が押し込んで劇的な同点ゴール。05年度大会の野洲対鹿児島実戦以来となる延長戦へ持ち込んだ。

 四中工は後半ロスタイムから田村翔に代えてFW金平将輝(3年)を投入。再び突き放しにかかるが、前後半各10分の延長戦で市立船橋が加速する。1分にはロングボールからPAに池辺が飛び込み、直後にはPA右サイドから和泉が右足を振りぬいた。一方の四中工はカウンターから浅野が右足ループ。ただ、これは積田が好反応でゴールの外へはじき出す。互いにシュートまで持ち込むなどオープンな撃ち合いとなった試合で決着をつけたのは市立船橋だった。

 延長後半3分、杉山に代えてMF宇都宮勇士(2年)をピッチへ送り出した市立船橋は同5分、カウンターから明らかに切り替えの遅れた四中工ゴールに襲い掛かる。渡辺からのパスを左中間で受けた宇都宮がディフェンスラインの背後へスルーパスを送ると、和泉が切り返しから右足を一閃。ニアサイドへ飛んだ強烈な一撃はGKの手を弾いてゴール左上へと突き刺さった。10年全国高校総体得点王の和泉の2発で大逆転した市立船橋はこのリードを守りきり2-1で勝利。国立で名門が9年ぶりとなる頂点に立った。 

(取材・文 吉田太郎)


[写真提供『高校サッカー年鑑』]


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