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“世界一”凱旋会見!!澤穂希&佐々木監督の会見要旨

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 9日にスイス・チューリッヒで行われた「FIFAバロンドール2011」授賞式でFIFA女子年間最優秀選手に選ばれた日本女子代表(なでしこジャパン)のMF澤穂希(INAC神戸)とFIFA女子年間最優秀監督賞を受賞した佐々木則夫監督が11日、帰国し、都内で受賞記者会見を行った。
以下、記者会見要旨

●MF澤穂希
「このような名誉ある賞をいただけたのも、監督の下、大切な信頼できる仲間がいたからこそだと思います。授賞式では隣にメッシ選手もいて、自分の名前が呼ばれたときは頭が真っ白で、何が何だか分からなかったけど、少しずつ実感がわいてきました。この賞に恥じないように、糧にして、精進していきたいと思っています」

―ロンドン五輪のある2012年が最高の滑り出しになりましたか?
「自分の個人的な賞ですが、アジアで初ということで、日本女子サッカーにとっても大切なことだと思っています。今年はロンドン五輪もありますし、いい年の初めになったかなと思います。ロンドン五輪ではチームとして頂点を目指したいと思っています」

―チームメイトの反応は?
「たくさんのメールをいただきました。大野選手、近賀選手はすぐにメールをくれて、大野選手は『澤バロンドール穂希』という題名で(笑)。『普段から仲良くさせていただいて光栄です』と書かれていましたが、みんながいたから取れた賞だと思いますし、このうれしさを伝えたいと思います。『最高の仲間がいてこそ取れた賞だから感謝しています』と返信しました。今月にはチームも始動するので、みんなにお礼を言いたいです」

―澤選手から見て佐々木監督の魅力は?
「上から目線じゃないですけど、指導者として素晴らしい方だと思いますし、その下でできるのは光栄です。チームの雰囲気を和ませてくれるし、選手が緊張する場面で、一言で笑いにしてくれたり、サッカーをしやすくする雰囲気づくりがうまいので、そういうところが素敵です。一緒にサッカーをやっていて楽しいし、もっともっと一緒にやりたい。選手のいいところを出してくれるのが佐々木監督だと思うので、ロンドンで監督と一緒に世界一になりたいという目標ができました」

―授賞式に出席していた他の選手と何か話は?
「メッシ選手はシャイなのか、しゃべる機会はなかったですが、シャビ選手からは英語で『W杯優勝おめでとう』と言われました。みんなやさしく写真を撮ってくれたり、声をかけてくれたりしました」

―実感がわいてきたのはいつごろですか? 世界一の選手になって何か変わったことは?
「これだけメディアの方がたくさんいるので、実感もわいてきました。気持ちの面は全然変わっていません。チームとしてロンドン五輪でメダルを取りたい気持ちは変わってないし、何も変わっていません」

―女子サッカーの普及という面でも価値ある受賞になったが?
「『日本人でも』ではないけど、不可能ではないことを証明できて、今の子供たちに夢や目標ができたのはよかったと思いますし、少しは影響があるのかなと思います」

―代表として18年間やってきてたどり着いた世界一だが?
「ここに来るまで18年という長い年月がありましたが、世界一という目標を果たすことができました。このトロフィーはとても重いんですが、その18年間のもっと前から女子サッカーに携わってきたすべての方々の重みが入ったトロフィーだと思います」

―受賞したときに何か思い出したことは?
「感謝の気持ちです。メッシ選手も最高の仲間がいての受賞だと思いますし、私も最高の仲間がいてこそ、このような賞をいただくことができました。感謝の気持ちがまずこみあげてきました」

佐々木則夫監督
「私の賞はなでしこの選手、スタッフ、関係者が一丸となった評価だと思う。女子サッカーを支えていただいた人たち、30年の歴史の積み重ねの結果。総合的な評価を得て、スタッフの賞に尽きると思います。女子サッカーにご支援いただいてきた方に感謝し、この賞を糧に邁進していきたい」

―選手から何かメールなどはありましたか?
「私は選手に個人情報を伝えてないので。ただ1件だけ、連絡先を調べてきた選手がいて、着信があった。意外なやつから電話があった。だれかについては、この場では差し控えます(笑)」

―一緒に世界一になった澤選手とはどんな選手ですか?
「私が女子サッカーの世界に入ってくるとき、彼女はすでに女子サッカーの象徴でした。プレーを見て、触れ合う中で中心的な存在だと確認しました。澤を生かすというよりも、全体でサッカーを見たとき、チームが連動する中で各選手が生かされるだろうと思った。選手一人ひとり、澤自身が私のイメージ以上のプレーをしてくれて、こういう結果に導いてくれた。08年から積み上げてきたものをロンドン五輪につなぎ、このチームを完結したチームにしたい」

―授賞式に出席していた他の監督と何か話は?
「ファーガソン監督、グアルディオラ監督は両監督ともなでしこの試合を見てくれていたということで、とても評価していただいた。バルセロナの監督には興味があったので、一度メディアに『バルサに似たチーム』と出たことを言ったら、『いや、我々以上だ』とすごく持ち上げてくれた(笑)。バルサはいろいろ手本にしているところもあるので、いろいろ話した。ファーガソン監督には『これだけ長く一つのチームを指揮する秘訣は?』と聞いたが、はぐらかされました(笑)」

―女子サッカーの普及という面でも価値ある受賞になったが?
「全国の少女たちがサッカーに興味をもってもらえたらうれしいが、そのためには全国に受け皿となるシステムを構築しないといけない。今の状況が流行、ブームにならず、一貫してやっていく大きなきっかけになればと思う」

―受賞したときに何か思い出したことは?
「僕自身、順風満帆に指導者として来たわけではないし、サッカーを辞めようと思ったこともあったので、そんなこともフラッシュバックしました。昨年、世界大会に臨むにあたって日本では大変なこともありましたし、あの瞬間、そういうものがこみあげてくるとは思いませんでしたが、そういうつらかったことが出てくるんですね。ただ、もう終わってからは、これを節目に切り替えて、ロンドン五輪に向けてがんばっていきたい」

(取材・文 西山紘平)

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