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“禁断”の移籍で飛躍誓う河野、「自分が思っていた以上に…」

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 “禁断”の移籍が新天地での決意を固めた。下部組織から育った東京ヴェルディを離れ、ライバルチームであるFC東京へ完全移籍したMF河野広貴が青と赤のユニフォームに初めて袖を通し、サポーターの前で新体制記者発表会に臨んだ。

「着慣れないですね。違和感がない? 自分ではすごい違和感あります」。会見後の囲み取材。報道陣からF東京のユニフォームを着た感想を聞かれ、思わず苦笑いした。

「(考える)時間が1週間ぐらいあって、決めなきゃいけない日の午後5時までは『ヴェルディでやりたい。残ろう』と思ってた。でも、(返事の期限を)1日延ばしてもらって、次の日になったら(F東京に)来ちゃいました」

 東京VからF東京へ。その決断は決して簡単なものでも、軽いものでもなかった。「周囲の反応はどうだったか?」と聞かれると、「やばかったです。たぶん皆さんが思っている以上に。自分が思っていた以上に、(移籍を)決めて、発表になったときは大変でした」と表情を厳しくした。

 自身のtwitterには東京Vのサポーターを中心に約200件のコメントが殺到した。激励、応援するものもあれば、厳しく非難するものも当然あった。河野はそれに対し、一つ一つ丁寧に返信を送った。

「本当にヴェルディのサポーターにもお世話になりましたし、みんなの言葉が一つひとつ印象に残っています。ヴェルディのサポーターは顔も分かるし、どのコメントがだれか分かったのもあった」

 自分を育ててもらったクラブへの恩義、感謝の気持ちはだれよりも強かった。しかし、それ以上に、サッカー選手として成長するために現状に甘えていられないとの思いも日増しに高まっていた。

「去年も(東京Vを)出るって決めていたのに出られなくて。そろそろヴェルディを出なきゃいけない、ちゃんと決めないといけないと思っていた」

 慣れ親しんだ環境を離れ、新たな場所でチャレンジする。「やっぱりJ1でやりたいと思って。ACLもあるし」。自分自身がひと回りもふた回りも大きくなることが、東京Vへの恩返しにもなると思った。

「ダービーとかでサポーターも盛り上がるし、自分も燃えるけど、僕の中で(F東京が)嫌いとかはなかった。去年、対戦したときも、このチームがJ1に行ったら戦えるだろうな、優勝もできるメンバーだなと思った。ヴェルディとは違うので、慣れるのに時間はかかると思うけど、自分の個人技は変えないで、FC東京のサッカーを理解していきたい」

 緑のドリブラーから青赤のドリブラーへ。パスサッカーを標榜するポポヴィッチ新体制で、さらなる飛躍を誓う背番号17がアクセントになる。

(取材・文 西山紘平)

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