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[五輪最終予選]涙ぐむ原口「応援してくれる人がいたからピッチに帰ってこられた」

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[2.22 五輪アジア最終予選 マレーシア0-4日本 クアラルンプール]

 スピードも技術も相手より一枚も二枚も上。だが、何よりも相手を上回っていたのは、ゴールへ向かう気持ちだった。関塚ジャパンに4試合ぶりに復帰したMF原口元気(浦和)が1得点1アシストの大活躍で、日本の大量得点勝利に大きく貢献した。

「マレーシアは裏へのケアが良くなかったので狙っていた」と振り返ったのは前半35分の先制の場面。MF東慶悟(大宮)からの縦パスに反応し、相手2枚のセンターバックの裏へ抜け出した。この試合初のビッグチャンス。原口は「シュートを狙ったけど、(酒井)宏樹が見えたので」と、半ばつぶされかけながらパスを出す。これをDF酒井宏樹(柏)が冷静に流し込んで先制点を決めた。

「これも狙っていた形」と語ったのは後半10分のチーム3点目だ。右サイドを深くえぐった酒井から送られてきたファーへのクロス。これを左足スライディングシュートで決めた。「ファーが空くことは分かっていたので、宏樹がそこにクロスを上げると言ってくれていた」と自画自賛のゴールだった。

 所属の浦和が15位に終わり、先発ストライカーとしてモヤモヤのたまっていた昨年12月。浦和ユース時代からの後輩であるDF岡本拓也に遊びでボールをぶつけられたことに突如腹を立て、岡本に蹴りを入れるという愚行を犯してしまった。岡本は左肩関節脱臼の重傷。原口はチームから謹慎処分を受け、反省また反省の日々を過ごした。だが、多くの厳しい声を受ける中、それでもなお応援してくれる人がいたのも事実だ。

「応援がなければピッチに戻れなかった」と言うと、みるみる目が潤んでいった。「このチームで結果を出していなかったのでゴールは良かったけど、でも、1試合良くても意味がない。続けていきたい」。重く背負っていたものの一部を取り除いてくれたゴールの次に期待されるのは、チームを5大会連続の五輪出場へ導くゴール。原口なら、やってくれる。そう思わせる情熱が、背番号14にはある。

(取材・文 矢内由美子)

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