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さいたまダービーを制し、大宮が今季ホーム初勝利

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[4.21 J1第7節 大宮2-0浦和 NACK]

 Jリーグは21日、第7節を行い、NACK5スタジアム大宮では大宮アルディージャ浦和レッズのさいたまダービーが行なわれた。前半8分、今季まだホームで勝利のない大宮は、MFチョ・ヨンチョルのゴールで幸先よく先制する。同27分にはFWラファエルが2節新潟戦(2-1)以来となる今季2得点目を挙げて、リードを広げる。後半に入っても浦和が押し込み、大宮が速攻するという展開は変わらず。結局、GK北野貴之を中心に最後まで守り抜いた大宮が、ダービーで今シーズンのホームゲーム初白星を挙げた。

 ホームの大宮は、第3節の仙台戦(1-4)で右足関節捻挫を負い、その後3試合欠場していたMF東慶悟がスタメンに復帰した。布陣は4-2-3-1を採用。最終ラインは右から金英權、菊池光将、坪内秀介、下平匠。中盤の底には青木拓矢とカルリーニョスが入り、2列目は右から渡邉大剛、東慶悟、チョ・ヨンチョル、1トップはラファエル。

 アウェーの浦和は、前節の神戸戦(2-0)と同じメンバー。布陣は3-4-2-1で、DFラインは右から坪井慶介、永田充、槙野智章。ボランチに阿部勇樹、鈴木啓太が入り、右WBに平川忠亮、左WBに梅崎司が入り、2列目に柏木陽介、マルシオ・リシャルデス。1トップはポポが務めた。

 立ち上がり、両チームともに高い位置で相手のミスを誘って、積極的に攻めた。前半2分、MF柏木陽介が相手DFからボールを奪ってCKを獲得する。逆に同4分には大宮も左サイドでこぼれ球に早く反応し、シュートまで持ち込んだ。ここはゴール前に戻ったDF槙野智章がブロックして得点にはならなかったが、大宮がショートカウンターから好機をつくった。

 そして前半8分、大宮に先制点が入る。ゴール前で細かくパスをつなぎ、MF渡邉大剛のスルーパスから抜け出したチョ・ヨンチョルがシュートを決めて、ホームの大宮が先制点を挙げる。

 ビハインドとなった浦和は、パスを回しながら、高い位置までボールを運ぶ。しかし、引いて守る大宮の守備を崩せない。そのため、守備ブロックの手前からシュートを放ち、DFに当たってラインを割ったボールからCKを取る時間帯が続く。23分に右サイドを攻め上がったDF平川忠亮がクロスを入れる。大宮DFがクリアしたボールをMF梅崎司がボレーで捉えたが、ボールはわずかに右へ外れて行った。

 逆にチャンスをつくったのは、押し込まれていた大宮だった。味方のクリアボールを前線に残るラファエル、東らがしっかりと拾って、ボールをキープ。そのまま速攻できる状態であれば一気に前を向き、難しい場合は後方の選手が押し上がる時間をつくった。そして浦和の猛攻に耐えた27分、追加点を挙げる。左サイドで下平匠のパスを受けたチョがクロスを上げると、これをゴール前でFWラファエルが頭で捉えて2-0とリードを広げた。

 さらに前に出る浦和の勢いを利用して速攻を見せる大宮は、同29分にも決定機をつくる。ドリブルでボールを持ち上がった東が右にラファエルも走っている状況で、左のチョ・ヨンチョルにスルーパスを出す。チョ・ヨンチョルはGK加藤順大と1対1になったが、ファーストコントロールに失敗し、シュートはGKにブロックされて決定機を逃してしまう。

 その後も高い位置でボールを回す浦和だが、ゴール前で体を張る大宮から得点を挙げられない。46分にはMF阿部勇樹のロングボールをPA内で受けたMFマルシオ・リシャルデスが胸トラップからボレーシュートを放ったが、ボールを枠に飛ばすことはできなかった。

 後半、浦和はMF鈴木啓太を下げて、MF原口元気をピッチに送る。左に原口を置き、トップ下に梅崎を入れて、サイドからの攻略を狙う。しかし、試合展開は変わらずに、後半7分に浦和は速攻から大宮に3対2の局面をつくられる。中央の東がドリブルで持ち上がり、左に曺永哲、右にラフェエルがいる前半29分に酷似した状況で今度は右のラファエルを選択する。しかし、縦に仕掛けたラファエルのシュートはブロックされ、跳ね返りを再び東に返したが、シュートはGKの正面に飛び、チャンスを生かせなかった。

 徐々に攻撃が機能し始めた浦和は、後半12分にFWポポがPA内でシュートを放ったのを皮切りに、大宮ゴールに襲いかかる。直後にもヘディングがゴールマウスを捉え、14分にも柏木のパスからポポがゴールを狙ったが、いずれもGK北野が好守を見せて得点を許さない。同17分には、PA内でこぼれ球を拾った原口が、槙野にパスを出す。槙野がフリーでシュートを放ったが、ボールは枠の上を越えて行く。

 試合が膠着した28分、浦和はポポを下げて、FWデスポトビッチをピッチに送り出す。その直後、左サイドの梅崎のクロスがゴール前に流れたところを平川が狙いすましたシュートを放つ。しかし、ここも北野が立ちはだかる。同30分にも柏木の縦パスをPA内で阿部が受けてシュートを放ったが、これも北野に抑えられて決定機を生かせない。

 同36分には柏木が中央を突破し、シュートを放ったが上へ外れる。しかし、この際にファウルがあったとして、浦和にFKが与えられた。マルシオ・リシャルデスのFKはわずかにバーを越えて、得点を挙げられない。このFK前に、大宮は東を下げて、DF深谷友基をピッチに入れた。深谷を最終ラインに入れて、菊地光将を中盤に上げた。39分、大宮は時間を使いながら攻める。左サイドからチョ・ヨンチョルが、ループシュートでゴールを狙ったが、GK加藤がゴールに戻りながらのパンチングで枠外に弾き出した。42分、大宮は渡邉に代えてMF金久保順をピッチに送り出し、後半ロスタイム突入直後にも、ラファエルに代えて、FW長谷川悠を入れて時間を使う。

 浦和はロスタイムにも梅崎のシュートを北野がセーブ。さらに阿部が放った強烈なシュートもゴールライン上で弾き出し、最後まで得点を許さず。ダービーでの完封勝利が、うれしいホームでの今季初勝利となった。

(取材・文 河合 拓)

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