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“1年生軍団”新生・城西国際大の公式戦初戦は4発発進

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[5.3 千葉県大学サッカー選手権1回戦 城西国際大4-2千葉大 国際武道大G]

 千葉県大学サッカー選手権大会兼総理大臣杯千葉県代表決定戦の1回戦が3日、行われ、城西国際大は千葉大に4-2で勝利し、6日の2回戦(対江戸川大)に駒を進めた。本格強化2年目の公式戦初戦。先発11人に1年生がズラリと並んだ“新生・城西国際大”が4得点を挙げ、初戦を突破した。

 札幌のチーム統括部長や横浜FMのゼネラルマネージャーを歴任し、2010年の南アフリカW杯で日本代表のチームコーディネーターを務めた小山哲司氏が監督に就任して2シーズン目を迎えた城西国際大。小山監督自ら熱心に全国各地へ足を運んで選手をスカウトし、今春、Jクラブユースや全国の強豪校から新入生38人が入部した。強化2年目の勝負のシーズン。その公式戦初戦は、先発11人全員が1年生というメンバーで臨んだ。

 システムは4-3-3で、GK平山優樹(1年=長崎日大高)。4バックは右から津川暢彰(1年=札幌U-18)、呉島勝士(1年=広島皆実高)、佐藤正三郎(1年=海星高)、重行拓也(1年=広島ユース)と並んだ。中盤は岡原拓也(1年=愛媛ユース)がアンカーに入り、右前に橋本渉主将(1年=広島皆実高)、左前に桑野淳史(1年=福岡U-18)。3トップは右サイドに井之元和之(1年=都城高)、左サイドに香川滉太(1年=瀬戸内高)、中央に寺田大輝(1年=浜松開誠館高)が位置した。

 3月27日に新チームが始動して5週間あまり。練習試合も1試合をこなしただけで臨んだ公式戦初戦とあって、選手の動きには硬さも見られた。前半8分にはGKとDFの連係ミスからピンチを招くなどバタバタした時間が続く。なかなかシュートまで持ち込めない展開のまま前半15分を過ぎると、それまでじっとベンチに座っていた小山監督が初めて声を張り上げ、ピッチ上の選手に指示を飛ばした。

「早くボールを動かせ!」「止まるな。動いてもらえ!」

 立ち上がりの15分、黙って戦況を見守っていた小山監督は「どういうふうにやるのか、選手にやらせてみようと思った。選手にやらせて、4、5点取ってくれたら何も言わずに済むんだけど」と苦笑い。指揮官のゲキで目を覚ました選手たちの動きは見違えるほどよくなり、徐々にボールも回り出し、リズムをつかみ始めた。

 すると前半22分、左サイドをオーバーラップした重行が香川からのパスを受け、一気にPA内に進入。そのまま角度のない位置から左足を思い切りよく振り抜き、ゴールネットに突き刺した。「狙っていました」というチームの今季公式戦初ゴール。「SBだけど、俺が取ってやろうと思っていた」という積極果敢なプレーで先制に成功した。

 ところが、試合は簡単には運ばない。ボールは保持できても有効な崩しをできず、逆にシンプルな縦パスで最終ラインの背後のスペースを突かれ、ピンチを招いた。そして前半34分にカウンターから失点。波に乗り切れないまま、1-1で前半を折り返した。

 後半開始から香川に代えてFW米澤康太(1年=都城工高)を投入。「もっとシンプルにサイドから仕掛けろ。跳ね返されたらセカンドボールを拾って、もっと泥臭く戦え」という小山監督の指示を受け、津川、重行の両SBが積極的に押し上げて勝ち越しゴールを目指す。

 待望の2点目が生まれたのは後半13分。右CKのチャンスに重行がショートコーナーで桑野にパスを出すと、右サイドから中にカットインした桑野が豪快な左足ミドルを叩き込んだ。本人は「外から巻いてくるイメージだったけど、コースが甘くて……。ラッキーな感じでした」と謙遜したが、大きく流れを引き寄せる一撃となった。

 6分後の後半19分には左サイドを駆け上がった重行のクロスが逆サイドに流れ、井之元がもう一度折り返したボールを寺田が押し込み、3-1と突き放す。その後もチャンスをつくり続け、後半27分に不運なPKで2-3と追い上げられたが、後半ロスタイムに井之元がダメ押しの4点目を決め、試合を決定づけた。

 苦しみながら勝ち取った新チーム初勝利。小山監督は「まだまだひな鳥。やっと卵からかえったばかり」と、スタートを切ったばかりのチームに多くの課題を見ながらも「初めてにしてはよくやってくれたと思う」と及第点を付けた。

「チームづくりは簡単にはいかない。選手が集まったから勝てるわけじゃない。彼らはU-19年代で、U-22年代とはまだまだフィジカルの差もある。ただ、半年、1年とやっていけば、フィジカル、スピードの部分は上がってくる。もともと持っているテクニックの部分はそんなに変わらない」

 ポテンシャルは秘めている。それだけにじっくりとチームを鍛えながら、今年の最大の目標である千葉県1部リーグ昇格へ一歩一歩、前へ進んでいく。

(取材・文 西山紘平)

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