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香川が語る ドイツでの2年目とこれから(会見全文)

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 16日、早朝に帰国したドルトムントMF香川真司が、帰国後の記者会見を行った。13得点を挙げて、ブンデスリーガ2連覇を達成した香川は疲れも見せず、自信に満ちた表情で報道陣の前に現れた。そして、2年目のシーズンを振り返り、マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督と会ったこと、そして代表についても語った。

以下、会見全文

―2年目を終えた感想は?
「リーグ優勝とカップ優勝ができて、本当に充実したシーズンになりましたし、すごく良い1年だったと思います。前半戦は(個人的にも)ケガの影響があったり、チームもなかなかうまくいかなくて苦しみましたが、その中でどうやったら結果を残せるか、いろいろなことを考えて、そこで修正して後半戦はいい結果を残せたと思っています。そういった意味でも、いろいろな経験ができた一年だと思いますし、その中で優勝を最終的に勝ち取れたことは、中身の濃い1年だったと思います」

―ドイツ杯決勝を振り返って?
「カップ戦の決勝で、相手がバイエルンで…。もちろん、バイエルンが週末にチャンピオンズリーグ決勝を残しているのは知っていましたが、それでも、彼らもドイツの王者としてあの試合に臨んでいたのを感じました。そういった中で、1得点1アシストできて、さらにチームとしても決勝の舞台で素晴らしい戦いをやり遂げた。そういうチームの一員として戦えたことは嬉しく思いますし、忘れられない決勝になりました」

―翌日30万人が集まった優勝パレードは?
「本当にドルトムントのサポーターは素晴らしい。僕は2年間しかプレーしていませんが、もう何十年もプレーしているかのように扱ってくれますし、それくらい愛されたと感じますし、ドルトムントの街、選手、監督、スタジアム、すべての面で恵まれていたと思いますし、サポーターには本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

―得点は2ケタ、アシストも多く記録したが?
「得点もアシストも、もっとできた数字だと思いますし、13得点はそこまで多くない。そういう意味では、もっと貪欲に狙っていきたかったなと振り返ったら感じます。ただ、アシストや大事な場面でも得点することができたので、自分自身成長できたと思いますし、1年目と比べて僕自身も成長できたというのも思います。プレーの幅も出たし、プレーにも余裕ができたと感じます。また、メンタル的にも苦しい時期もあったなかで、それを乗り越えて優勝を勝ち取れたので、自分自身、すごく成長できた1年だったと感じます」

―今季一番つらかった時期は?
「開幕して1、2か月、チャンピオンズリーグを含めて、なかなかチームとして結果が出なかったですし、その中ですごく考えたし、悔しかったり、いろいろな経験をして、すごく苦しい期間でしたが、良くなると信じていました。その苦しんだ経験が後半戦の無敗という結果にもつながったのだと思います。ある意味、壁が高かった分、自分も成長できたかなと思います」

―2年目を終えて自分の中での変化は?
「1年目、すごく良いスタートダッシュが切れて、優勝はできたのですが、僕はケガをしました。(1年目は)前半戦の評価はいただきましたし、もちろん結果も残しましたが、チームの勢いを感じた中での優勝だったので。そういう中で2年目はどういう戦い方をするのかと注目されましたし、序盤戦は2、3人主力が抜けたり、ケガをしたりしたこともあって、なかなかチームとしてまとまりのあるサッカーができませんでした。それでも、しっかりと修正して、最終的には後半戦は1回も負けませんでしたし、いろいろな記録をチームでつくることもできました。すごく若いチームですが、強さを示せたチームだったと思いますし、バイエルンにも2年間、負けていないというのもチームの強さを示せていると思うので、そういう意味では今シーズン、勢いだけではなくてチームとして難しい時期もあった中で立て直しながらチームとしてまとまって戦えたかなと思います」

―自身にとっては?
「難しいシーズンでした。前半戦はチャンピオンズリーグ、リーグ戦、代表も難しい戦いが続いた中で、悔しいときもありましたし、苦しい時もあった。その中でも上を向いて、良くなると信じてプレーし続けて、修正点や課題を見つけながら取り組めました。それが後半戦、結果につながったのは、あの時期があったからなのかなと思います。いろいろなことを経験できた1シーズンだったと思います」

―技術面より、精神面での成長を感じる?
「そうですね。メンタル面は成長できました。特に後半戦にかけては結果にこだわる意識を強く持って、その中で大事な試合で点を取ることは僕自身もこだわって試合に挑んでいたので。それが結果として現れたことで精神的に成長できたと思いますし、プレーヤーとしても、今シーズン、1年目とまた違う自分を見せられたと思うので、そういう面でも成長できたのではないかなと思います」

―移籍の決断の目処は?
「僕自身、決断の目処は立てていませんし、しっかりと決断したいと思っています。代理人や家族、自分の信頼のおける人たちと話して決めたいと思います。それよりも、まずは最終予選に集中しないといけませんし、日本代表として戦うわけですから、集中したいと思います」

―最終予選後になる?
「どのタイミングになるかは分かりませんが、はい。ここ数日で決まることではないと思います。多分。分かりませんが。まだこれから話をして決めるところなので。代表期間中は代表のことに集中してやっていきたいと思います」

―ドルトムントのチームメイトに挨拶はした?
「そうですね。最後、(ドイツ杯に)優勝した翌日に、クラブハウスでみんなと話をして、監督とも話をして。本当に素晴らしいチームだなと思いました。監督には『いつでも帰って来い。ここはお前の家でもあるから』という言い方をしてもらいましたし、本当に素晴らしい、本当にそういう言葉しかないですね。監督、チーム、サポーター、僕は本当に恵まれたなと思います」

―また戻りたいというのもある?
「そうですね。死ぬまでに、また一度あの声援を受けられたらと思います。この2年間で受けたあの応援は忘れることができませんし、自分にとって素晴らしい財産になりました。いつか、また行けたらいいですね」

―戻るべきクラブが2つになった?
「そうですね。良いことだと思います」

―マンUの印象は?
「みなさん知ってのとおりのビッグクラブですし、選手も監督もサポーターも素晴らしいと思います」

―マンチェスター入りした?
「はい。マンチェスターに行きました。 (現地では)ファーガソン監督と話をしました。自分で整理して、しっかりと決断することなので。初めて会いましたが、その中身は言えることではありませんが、監督と会って話をできたことはすごく良かったと思います」

―ラブコールをもらった?
「まぁ、ラブコールというか。本当に良い言葉を頂きましたし。ただ、本当にしっかりとした決断をしないといけないので、しっかりその時が来る時までは自分の中で決断をして。そうしたら、あとはやるだけなので。今、悩んで、しっかり決めたいと思います」

―印象的な言葉は?
「決まったら言いたいのですが、まだどこに行くかは何も決まっていないので。そういう意味では代表もありますので、集中したいので、今答えるべきことではないと思います」

―施設も見学した?
「いえ。時間がなかったので。向こうもすごく忙しい中で時間をつくってくれたので。スタジアムも入っていないです。監督とは2時間くらい、話しました」

―最優先はマンU?
「いろいろなクラブからコンタクトはあるので、どこが今は一番というのは、正直ない状態です。しっかりと自分が挑戦できるところを選んで決めたいなと思いますし、そこは代理人と話をして決めたいと思います」

―C大阪時代からビッグクラブが目標だったが。
「あとは自分の気持ちなので。そこが一番大事だと思っています。周りの意見やいろいろな情報が流れたりしますが、そこはあまり自分の中には入れず、しっかり自分の道を自分の意志で決めたいと思います。それよりもドルトムントで経験できたことに僕自身は感謝の気持ちでいっぱいですし、素晴らしいチームに出会えたなと感じています。それが今の感想ですね」

―プレミアリーグの印象は?
「すごくタフな印象です。ドイツではクリスマス休暇もありましたが、プレミアリーグはそれもないですし、1年を通してハードなリーグだと思います。レベルというか、素晴らしいチームもたくさんありますし、僕自身の中では一番レベルが高いかなと思いますし、そういう中でプレーできれば成長できるかなと思います」

―以前はスペインに強い関心があったが?
「もちろんスぺインもバルサとレアルがありますし、そこが世界一のクラブだと思います。でも、リーグ全体を見たときにはまだ(クラブ間で)差があると思いますし。そういうのは感じていました。もちろん、バルサに行けたら一番なんでしょうけど、それはまだまだ自分には足りないと思っています。総合的に見たら、プレミアが今は一番レベルが高い。優勝争いを見ても、すごい戦いをしていましたし、すごく激しい、厳しいリーグなのかなと思います」

―そういう環境に身を置いておきたい?
「そうですね。常にそういう気持ちはあるので。その決断をしっかりしたいなと思います」

―今後の調整は?
「まだ場所とかは決めていませんが、日本代表もあるので。そこに向けて、日本代表のみんなとともに戦っていきたいなと思いますし、最高のパフォーマンスを発揮できるように準備したいです。今回は準備期間もすごくあるので、良い戦いができると思いますし、だからこそ絶対に負けられない。責任感もすごく感じますし、しっかりと準備していきたいなと思います。21日までは個人で調整することになると思います」

―アゼルバイジャン戦のテーマは?
「最終予選前の最後の試合ですから、その中でしっかり確認できることは確認したい。あとはコンディションの調整も。ドイツ組は5月の1週目でシーズンが終わって、試合勘もなかなか維持できないかもしれないので。僕自身も10日くらい休むので試合を入れていくことが大事だと思いますし、最終予選につながる戦いをしたいと思います」

―最終予選3連戦に向けては?
「本当に大事な3連戦になりますし、僕はリーグとカップが終わって、良い状態で入れそうですし、モチベーションも高い。代表に向けて、また心と体を準備して、本当に大事な試合になると思っているので、自分の中で集中して取り組んでいけば、必ず結果は出せると思う。代表としてまた結果を残せるように、しっかり準備をしたいと思います」

―今日は始球式もあるが?
「ジャイアンツという応援していたチームの始球式ができるのは光栄なことなので、野球もできることを見せたいなと思います。練習はしていませんが、今から東京ドームに行ってしようかなと思います(笑)」

(取材・文 河合 拓)

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