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近畿地区選手権代表6校の監督や部長が共同記者発表会に出席。意気込みや注目選手についてコメント

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後列左から奈良育英高・梶村卓監督、近大和歌山高・藪真啓監督、芦屋学園高・許泰萬監督、前列左から東山高・福重良一監督、履正社高・平野直樹監督、近江高・臼井徳典部長

 12月2日、第101回全国高校サッカー選手権大会の近畿地区代表校共同記者発表会が、大阪府大阪市の読売テレビで開催され、代表6校の監督・部長が意気込みを語った。

 滋賀県の近江高は2年ぶり2回目の出場。校務のため欠席となった前田高孝監督に代わって出席した臼井徳典部長は、「プリンスリーグ1部に所属する今年は、厳しいシーズンだった。近畿のチームに育てて貰いながら、チームが整えることができたので、滋賀の代表ですが、近畿の代表として頑張っていきたい」と意気込んだ。

 初戦の2回戦で対戦するのはDF津久井佳祐(3年、鹿島内定)、MF荒井悠汰(3年、FC東京内定)らを擁する昌平高(埼玉)。臼井部長は「昌平さんはタレント揃いのチームで、どの選手を見ても技術的に高い。攻められると思いますが、近江高らしく粘り強く守備をして戦って行きたい。少しでもチャンスを見つけて、勝利に繋げていきたい」と続けた。

 福重良一監督が「(日本代表に入れる)可能性はある」と期待を寄せるC大阪内定のMF阪田澪哉(3年)を筆頭に実力者を揃える京都府代表の東山高だが、星稜高(石川)との初戦からスタートする全国大会へ向けて、指揮官に楽観した様子は見られない。

「2年連続出場だが、まだ5回しか出ていない。昨年(の開幕前)までは1回戦を突破したことがなく、やっと京都府代表・東山高校として1回戦を突破できた。昨年インターハイ、選手権でベスト8という結果を残し、“今年は…”と言われますが、昨年のチームと今年は全く違う。初戦でしっかり勝って、波に乗れたらと思っています」。大会の目標について「(DF新谷陸斗主将が担当する)開会式の選手宣誓が上手くできることを一番に考えています」と口にし、記者陣を笑わせつつも、「高体連からJの監督になる同級生(青森山田高・黒田剛総監督)がいます。昨年は2敗しているので、今年も対戦して贐(はなむけ)としてやっつけたい」と決勝でのリベンジに意欲を見せた。

 激戦区・大阪府を勝ち抜き、2年ぶり4回目の出場を果たしたのが履正社高。「1回目、2回目はベスト8に入ったけど、一昨年は帝京長岡さんに負けてしまった。その時はフレッシュな状態で試合に挑めなかったのが反省点なので、今回はプレミアが終わってから、オフを何回か入れてフレッシュな状態で挑みたい。子どもたちが“試合が早く来ないかな”と楽しみにする状態で大会を迎えたい」と平野直樹監督は話した。

 1回戦で対戦するのは東邦高(愛知)で、「相手は全国大会での優勝経験がある監督なので、きちんと準備して勝つためのサッカーをされると思っています。我々は相手がどんな戦いをしてきても対応できるよう準備をして、一つひとつ戦って行きたい」。指揮官は川崎F内定のMF名願斗哉(3年)、徳島内定のDF西坂斗和(3年)、ゲームキャプテンのFW古田和之介(3年)と共に、「身体が動けるようしっかり鍛え、日の丸を付けて世界と渡り合える選手になって欲しい」(平野監督)と193cmのDF平井佑亮(3年)への期待を口にした。

 12年ぶり8回目の選手権出場を果たした昨年度、初戦で千葉県代表の流通経済大柏高にPK戦の末、勝利したのが和歌山県代表の近大和歌山高だ。今年も初戦の2回戦で國學院久我山高(東京A)と対戦する厳しい組み合わせとなったが、藪真啓監督は「2回戦で敗れた昨年の悔しさを胸に今年はチームの準備を進めてきた。昨年よりは少し期待されると思うので、また一発かましたいと思っています」と意気込んだ。

 カタールの地で奮闘を続ける日本代表の姿も、選手の後押しになるのは間違いない。「日本代表がドイツ、スペインを倒せたので、我々も行けるんじゃないかと思っている。守備の時間は長くなると思うけど、私たちの特徴である粘りや献身性で少ないチャンスをモノにしていきたい」。キーマンとして挙がるのは、MF畑下葵(3年)。藪監督が「プレイヤーとしてもまだまだ伸びシロがあると思うし、アスリートとしての能力も高い。関東の大学で鍛えて貰えれば、代表も夢じゃないと信じています」と評する攻守の要を中心に、2年連続での番狂わせなるか注目だ。

 芦屋学園高(兵庫)は、本格強化10年目で初出場。許泰萬監督は「今回参加されているチームとは違って、うちは県リーグ。みなさんには弱い時から揉んで頂いてきたので、今回同じ席に立てているのは素直に幸せだなと感じています」と笑みを浮かべた。「3年生全員に期待しているけど、強いて挙げるなら10番の出口(遼人)君や7番の大島(尚也)君は能力が高い。プロになりたいという意思を持った選手がたくさんいて、ほとんどが芦屋大に上がるので、Jリーグやワールドカップに出る選手にまで導きたい」と続けた通り、今年は3年生に意欲的な選手が多い。予選を突破した勢いのまま大会に挑めれば初勝利も十分可能だ。

 1回戦で対戦するのは、同じく初出場の日体大柏高(千葉)。「強さはよく分かっているつもり。ただ、初出場だったら初出場らしく、思い切って自分たちらしく戦おうと思っています。力の差はあると予想していますが、連日の日本代表の試合に勇気を貰っている。サッカーは何が起こるか分からない」(許監督)。

 2年連続15回目の出場となるのが奈良育英高(奈良)。10年ぶりの出場となった昨年は初戦で勝利したものの、2回戦の阪南大高(大阪)戦は0‐8で大敗。梶村卓監督は「あの時の経験を基に1年間頑張ってきました。2回戦からの今大会も、一戦必勝で頑張りたい。その先(3回戦)に履正社さんが待っているので、関西対決がしたい」と意気込んだ。

「うちにはスーパースターはいない。関西のトップトップの選手が来ているわけではないので、全員で出し切って粘り強く戦うしかない」と口にする通り、伝統の全員攻撃全員守備は今年も健在。「(初戦で対戦する栃木県代表・)佐野日大高は凄く守備が堅いチーム。間違いなくロースコアの試合になると思うので、とにかく隙を作らず、失点しないように試合を進め、全員で攻めて何とか1点をもぎ取りたい」(梶村監督)。

「木の香りがする国立のスタジアムで近畿の代表が何チームできるか楽しみ。みんなと切磋琢磨しながら頑張っていきたい」。平野監督が口にする通り、近畿の代表校が一つでも多く上位に入ることが、目標。2010年度の滝川二高(兵庫)以来となる日本一が生まれるか、注目だ。

(取材・文 森田将義)
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