beacon

“初代表”古川陽介「できればもっとチンチンにしたかった」大学生相手にさすがの切れ味披露!

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF古川陽介(磐田)

[4.27 練習試合 U-19日本代表候補 2-5 関東大学選抜]

 全カテゴリを通じて世代別代表初招集のMF古川陽介(磐田)が、U-19日本代表候補として初の対外試合でたしかな爪痕を残した。高校選手権を沸かせたドリブルや切り返しで1学年上の関東大学選抜ディフェンスを切り裂くと、鋭いクロスボールでも次々と相手のゴール前を強襲。課題とみられた“人見知り”もMF藤原健介(磐田)のおかげで乗り越えられたようで、大きな一歩を踏み出す代表活動になった。

 24日から続く合宿の最終日に行われた関東大学選抜(U-20世代)との45分×3本のトレーニングマッチ。先発組の攻撃を牽引したのは静岡学園高出身の18歳だった。まずは開始直後、スルスルと抜け出すドリブル突破でさっそく持ち味を見せると、その後チームはビハインドに追い込まれたが、引き続き左サイドで奮闘。足裏を巧みに使った切り返しや緩急をつけたドリブル、相手を交わした瞬間に繰り出すクロスで、代表チームのチャンスの大半に絡んでいた。

 ところが2本目になると、相手の対応に苦しめられて徐々に存在感をなくしていった。その立役者はDF関根大輝(拓殖大2年)。静岡学園高の一年先輩だった。二人は高校時代も仲が良かったといい、古川は「関根さんは僕が尊敬する人」と紹介。後半のプレーを「後半はファーストのところでガツっとこられて、思ったようにプレーできないのをすごく感じていた」と振り返った“後輩”は「対戦できて嬉しかった。できればもっとチンチンにしたかった」と苦笑いを浮かべた。

 そのまま古川は2本目の23分、他の先発フィールドプレーヤーとともに途中交代。爪痕を残した手応えよりも「クロスは上げられていたけど、合わせるところであったり、連係や質はまだまだ自分の課題でもある。決め切ることや、いいボールを供給できたらもっと評価されると思う」と課題にフォーカスし、「武器を出したところもあったが、課題も出たし、満足はできていない合宿になった」と総括した。

 一方、世代別の活動に参加できたことはポジティブに受け止めているようだ。「同世代のトップレベルの選手たちと高い強度でレベル高い練習をしてすごく楽しかった」と充実感をにじませた古川は、課題の“人見知り”も乗り越えた様子。「初めての場所は苦手だけど、(磐田のチームメートの藤原)健介がいたので多少はマシだった。徐々に友達ができて、コミュニケーションも取れた。もっと代表に食い込めるようになって仲間を増やせたら」と展望を語った。

 そうしたコミュニケーション面の上積みができれば、きっとプレーにも良い影響があるはずだ。この日も左サイドバックのDF松田隼風(水戸)から「周りとの意思疎通も使いながら言ったらもっと上手くいくよ」と伝えられたといい、「味方を使うふりをしたり、次は使ってみたりしながらやっていければ」と意気込み。「オーバーラップした味方を使うのも大事だけど、全部使ったら『誰でもできるやん』ってなるので、いくら使っても自分の良さを消さないように。自分の中では8割がた仕掛けるようにやっていく」とプライドをのぞかせた。

 そんな18歳の目線の先にはこの世代が目指すU-20ワールドカップだけでなく、2年後のパリ五輪がある。課題の「オフザボールや守備」も突き詰めていく意欲を見せつつ、「もっと基準を上げないといけないとあらためて痛感させられた。五輪などに関わるには、あと3、4段階、5段階くらい自分の評価を上げていかないといけない」ときっぱり。今回が初めての世代別代表。世代屈指のドリブラーはこの経験を糧にさらにレベルアップを続けていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)

TOP