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直接FK、ニア飛び込み、特訓ヘッドで3発得点王!! カタールW杯へ“多彩さ”示した相馬勇紀「これからどれだけ成長できるか」

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日本代表MF相馬勇紀(名古屋)

[7.27 E-1選手権 日本 3-0 韓国 豊田ス]

 大会を通じて3ゴール2アシストを記録し、EAFF E-1選手権制覇に導いた日本代表MF相馬勇紀(名古屋)が大会最優秀選手に輝いた。「この大会に臨む前に、自分の中で“チームのために結果を出す”、“自分の道を自分で切り拓く”というテーマを決めていた」。まさに思い描いていたとおりの大活躍で、カタールW杯メンバー入りに向けて猛アピールを果たした。

「3試合とも本当に気持ちを全力で込めて、一つ一つ絶対に自分がやってやるんだという気持ちを持っていたし、それをチームに還元しようと思っていた。日韓戦は歴史も長くて、3年前の悔しさは自分も知っていて、レベルの高い相手だと分かっていたので、そこで何ができるか、チームに貢献できるかを考えて試合に挑んだ」(相馬)

 優勝がかかった運命の日韓戦。0-0で迎えた後半5分、4大会ぶり2度目の大会制覇を大きく手繰り寄せる先制点は意外な形から生まれた。「水沼選手、小池選手からのクロスも狙っていたけど、藤田選手がルックアップしたところで目が合った」。相馬はMF藤田譲瑠チマからのクロスにファーサイドで反応すると、166cmの身体をめいっぱいに伸ばしてヘディングシュート。完璧なミートでゴール左上に押し込んだ。

 ドリブル突破を持ち味とするウインガーの相馬にとって、ヘディングでの一撃は意外なゴールのように思われた。だが、相馬自身はプレーの幅を広げるべく、ここまで練習を怠らなかったという。「ヘディングは毎日グランパスで森下(龍矢)選手にクロスを上げてもらって、海外の選手みたいに強いボールをヘディングできるよう狙っていた。半年練習してきて初めて出た」。日々の特訓が日韓戦のタイトルマッチという大舞台で発揮されたようだ。

 香港戦での2ゴールも直接FKとクロスに飛び込む形。この日だけでなく、大会を通じてゴールパターンの多彩さを感じさせた。「いろんな形で常にゴールを狙って行こう、PAに入って行こうということがゴールにつながった」。持ち味のドリブル突破でも猛威を奮っていたが、それだけで満足しないのが相馬の長所。「4バックのサイドハーフの左ではこれまで開いて受けて仕掛けてとか、張って待つシーンが多かったけど、監督からも多彩さや、味方と関わりながらゴールに迫るところをチャレンジしてほしいと言われていた」。クラブと違うポジションにもかかわらず、短い準備期間の中で森保一監督からの要求を着実にこなし続けた。

 そんな相馬はA代表でのサバイバルを見据える上でも「守備でボールを奪う迫力、サイドバックが上がった時に上手く放さないでついていくのが自分の良さ」と述べ、ドリブルではない武器を示していこうとしている。そこに今大会でのゴール量産により「左サイドでも右のニアまでゴールに絡んだり、プレースキックはさらに自信を深めることができた」と手応えを重ね、カタールW杯での逆転選出に向けて着実に歩みを進めている。

 それでも相馬にとって、W杯が近づいたという感覚はそれほどないようだ。今回の活動中、カタールW杯最終予選で活躍したMF田中碧、FW三笘薫の名前を挙げて「碧も薫も数字で示しているところから、やっぱり大事なのはそこ」と述べ、結果への思いを語っていたが、数字を残したいまでも「同じ土俵には立てていない」と冷静に語る。

「最終予選の敵の強さ、プレッシャーは今日のレベルよりもっともっと上だと思っている。自分のほうができないとは思っていないけど、客観的に彼らの活躍している舞台の方がステージは上。リスペクトしながらも負けないぞという気持ちは常に思っている。これからどれだけ成長できるかが次につながると思う」

 現状の立場よりも、これからの成長。残り4か月を切った夢舞台に向け、歩みを止めるつもりはない。「自分のこの大会で成功体験ということがすごく大きかったし、サイドハーフをやって、新しいことにどんどんチャレンジできて、幅が広がったと実感できた。でもW杯はドイツ、スペインと。世界のトップレベルの選手が相手なので、その相手とやった時にも通用するくらいのレベルアップが必要」。相手のレベルを冷静に見据えた相馬は「いまどうこうというより、ここからさらに成長していきたい」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)

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