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3日間の帯同を終えて…長谷部誠「中から見える日本代表は違うものがあった」

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MF長谷部誠(フランクフルト)

 日本代表前キャプテンのMF長谷部誠(フランクフルト)にとって、4年2か月ぶりに過ごした代表チームでの共同生活は実りあるものになったようだ。帯同最終日の24日、報道陣の囲み取材に応じた長谷部は「本当に多くのことを学べた3日間だった。日本代表のためというか、すごく自分自身のためになった」と前向きに振り返った。

 前回のロシアW杯限りで日本代表を引退した長谷部は22日、フランクフルトのオフ期間を利用して日本代表に合流。数か月前から日本サッカー協会(JFA)が打診していたオファーに乗ったもので、2010年の南アフリカW杯、14年のブラジルW杯、18年のロシアW杯をキャプテンとして牽引した経験を選手たちに伝える役割を託された。

「どういう形であれ、日本代表という場に来られて、みんながおそらく気持ちよく受け入れてくれたのでありがたいなと思う」。

 今季は39歳にして13年ぶりにUEFAチャンピオンズリーグの舞台に挑んでいる長谷部だが、将来のキャリアも見据えてドイツでコーチングライセンスを取得中。選手目線だけでなく、指導者目線からチームづくりを学べるという思いもあり、オファーを受けたようだ。

 チームに帯同していた3日間、長谷部は森保一監督らコーチングスタッフの他、各選手たちとさまざまな会話をしたという。

「若い選手たち、初めてW杯を戦う選手もいっぱいいるので、彼らがご飯を食べている時にW杯の雰囲気だったりを聞いてきてくれた。自分の言葉で伝えて伝わったかわからないけど、彼らもW杯は特別という思いがある中で、今の選手たちはやはり結果を出したいという思いをひしひし感じた」

「そして多くの選手が欧州でよりプレーするようになって、普段彼らがやっていることのレベルの高さを聞いていて感じた。それは日本代表にプラスになっている。それぞれのチームでみんなが、それぞれのやり方でやっているものをこの日本代表に少しでも還元できれば、さらに日本代表は強くなっていくのかなという感覚は持っている」

 そうした経験は長谷部自身の糧にもなっているようだ。

「チーム作りは色々なアプローチの仕方があって日本代表には日本代表のやり方があって、それを監督やコーチと話させてもらって、こういう作り方をしているんだなという意図が見えた。そこで選手と話をして、こういう関係性の中でやっているんだなと学んだ部分がある。選手としても学んだことはあるけど、指導者目線というか、広い視野でサッカーをまた見られたかなと思う」

 現在の日本代表チームについては「外から見る日本代表よりも中から見える日本代表は違うものがあった。W杯本番に向けてすごく期待の持てるチームだなと中から見えた」と評価した。

「監督に対してもどんどん要求もあるし、監督もそれをすごくウェルカムというか、待っているところもある。そういうディスカッションがミーティングでもある。食事の時に話していても、もっとこうしたほうがいいとかそんなふうな話が出ていた。欧州でやっている選手も多いので、よりいろいろな考え方があるなと感じた」

 スタジアムで視察したアメリカ戦でも、そうした取り組みの効果が感じられたようだ。

「昨日の試合はいいゲームだったと思う。試合のプランもはっきりしていたし、ミーティングを見させてもらってゲームを見られたので、かなりみんなで意思統一できてやれているなと感じた。また逆に後半相手が3バックにした時にピッチの中でどう修正するかを見ていたけど、そこも中で話し合って、プレッシングの形を変えたりしている。ああいうのは間違いなく必要と感じている。監督やスタッフはあれをピッチの中で、自分たちで柔軟に臨機応変にやってほしいと求めている。そこも中に入って感じた。そういう意味で昨日はポジティブだった」

 もっとも長谷部は「ただ、これが本番になると違うものがある」と引き締める言葉も忘れなかった。「僕自身は4年前に日本代表を離れている。それからもELで優勝したり、CLでプレーしているけど、そことは違う特別なものが日本代表にあると思う。離れてみて改めて感じているところでもある。そういう場でプレーできていることを今の代表選手には感じてほしい」。偉大なキャプテンは後輩たちに思いを託し、所属クラブでの戦いに戻っていった。

(取材・文 竹内達也)
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