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9失点で流した悔し涙を糧に…“3試合連続完封”に導いた背番号1、U-16日本代表GK後藤亘「自己分析してやり直した」

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U-16日本代表GK後藤亘(FC東京U-18)

[10.7 U17アジアカップ予選 U-16日本代表 3-0 U-16シリア代表 ヨルダン]

「ウチのGKには3人それぞれ良さがある。誰を出すかは本当に悩ましい」

 森山佳郎監督がそう言って胸を張るのがU-16日本代表のGK陣。第1戦ではGK田中亜理(柏U-18)、第2戦ではGK上林大誠(山形ユース)、そして7日に行われたシリアとの第3戦ではGK後藤亘(FC東京U-18)がピッチに立った。

「(田中と上林が)二人ともゼロで抑えていたし、結構緊張していました」(後藤)

 そう言って笑った後藤は、しかしキッチリと仕事をこなしてみせた。前半31分にセットプレーからのピンチをビッグセーブするなど、「3、4回は失点してもおかしくないシーンがあった」(森山監督)試合を締めたのは、間違いなくこの背番号1の守護神だろう。それはシリアがGKのプレーから失点を重ねていたのとは対照的で、勝敗を分ける要因だった。

 もっとも、この大会に向けて後藤の状態は万全ではなかった。「ボコボコにされていたので」と苦笑いとともに振り返るのは、9月19日に行われたT1リーグ(東京都U-18リーグ1部)第13節・成立学園高戦。FC東京U-18のセカンドチームのメンバーとして出場した後藤は、ここで9失点の記録的大敗を喫してしまう。試合後は悔し涙がこぼれたほど落ち込んだが、「もう一度しっかり自己分析して、(シュートに対する)構えの部分からやり直した」と言う。

「このまま代表に行って大丈夫かな」という感覚もあったというが、シビアな経験はむしろポジティブな成長への材料にもなったようだ。この試合では常に冷静な対応でチームを最後尾から支え、見事に無失点。「CBの二人が体を張ってくれたおかげ」と謙遜したが、指揮官は「ギリギリのところを止めてくれるのが後藤の良さ。今日はそれを出してくれた」と喜んだ。

 憧れのGKは「1対1が本当に強いし、足元もある」(後藤)バルセロナのドイツ代表GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲン。また最近はレアル・マドリードのベルギー代表GKティボー・クルトワのプレーも参考にしてセービングに採り入れていると言う。

 191cmの大きな体を活かしたプレーを武器とするビッグセーバーは「二人と切磋琢磨しながら成長できている」U-16日本代表チームで、また一つ成長への手応えを得た様子だった。

(取材・文 川端暁彦)
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