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“俺が必要だろ”と示すのは誰か…首位通過決定のU-16日本代表、最終戦ヨルダン戦は「最終予選に向けた第一歩」

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最終戦に向けて調整するU-16日本代表

 8日、ヨルダンで行われている「AFC U17アジアカップ2023予選」グループAに参加中のU-16日本代表は、現地での最終トレーニングを実施。9日に行われる同最終節・U-16ヨルダン代表戦に向けた最後の調整を実施した。

 すでにグループ首位通過の決まっている日本にとって、この試合は「(来年の)最終予選に向けた第一歩」(森山佳郎監督)である。「ヨルダンは勝てばほぼ予選突破なので必死に勝ちに来る」(同監督)シチュエーションは、最終予選に向けて経験値を蓄え、選手個人やその組み合わせを試す場としては絶好機。日本の指揮官は、このチャンスを単なる消化試合として浪費するつもりは毛頭ない。

「最終予選へ向けた準備と競争が始まっている。主力選手にこうした場を経験させつつ、当落線上にいる選手たちにチャンスを与える場になる。選手たちにはあえてハッキリ言いましたが、この最終戦で出番が来ないというのは、現時点ではそういう評価だということ。そして、ここから変わってくれば、またチャンスがあるということも伝えた」(森山監督)

 予選突破の安堵感に包まれるのはここで終わり。最終予選、そして世界大会へ向けたシビアな競争の中で成長していけるのは誰なのか。その見極め作業がすでに始まったということであり、そのタフな競争こそがチームを強くしていくという話でもある。

 同時期に開催されている国民体育大会にはU-16年代の選手たちが参戦し、切磋琢磨を重ねてもいる。森山監督は国体に関する記事も引用しながら、選手たちに「代表を狙っている優秀な選手たちがこれだけいるんだぞという話も伝えた」と言う。この予選で選ばれたことで満足しているようなら、すぐに取って代わられる。それが代表チームだということを煽りつつ、最終戦に向けて最高のプレーを求めた。

 1試合に先発、2試合に途中出場となっているMF矢田龍之介(清水ユース)は「自分に球際や守備のところがまだまだ足りていないのは分かっている。シリア戦でもセカンドボールの競り合いに負けてしまっていた」と、自身のプレーに納得いっていない様子をあらわにする。同時に「ラストパスの精度をもっと上げたいし、ミドルシュートも狙っていきたい。最終戦は1点取りたい」と得意の攻撃面で存在感を示すことを誓う。

 またここまで1試合に先発、1試合に途中出場となったDF藤井葉大(飯塚高)は「普段の試合とはまるで雰囲気も違う中で戦っているのは本当に良い経験だけれど、もっと試合に出たい気持ちもある」と語りつつ、「直接的に点に絡めていないし、攻撃でもっと決定的な仕事をしたい」と攻撃型SBらしいコメントで、生き残りへの熱い思いを吐露した。

 地元ヨルダンとの最終戦は夜の21時キックオフと、日本の育成年代の選手が経験することはまずないような時間設定でのゲームでもあり、昼のゲームが続いていただけに「コンディションを持っていくのは簡単ではない」(森山監督)という難しさもある。

 ただ、そうした慣れない環境への対応力もまた、代表選手としての適性の一つ。タフな連戦による消耗もある中で、最終予選に向けて「俺が必要だろ」と示すのは誰なのか。単に勝敗だけではなく、未来に向けてのチームパフォーマンスが期待される一戦と言えそうだ。

(取材・文 川端暁彦)
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