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次のW杯は27歳…田中碧「バケモノになって戻ってきたい」

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日本代表MF田中碧(デュッセルドルフ)

[12.5 W杯決勝T1回戦 日本 1-1(PK1-3) クロアチア アルワクラ]

 MF三笘薫のPKが止められると、日本代表MF田中碧(デュッセルドルフ)は真っ先に駆け寄っていった。「誰が外しても悔しいけど、僕個人としては悔しさが大きかった。だからこそ行かないといけないと……」。自らは「もともとPKを蹴ってきていなかったし、そもそも得意でもない」と手を挙げられなかったPKキッカー。その重圧に挑んだ先輩と苦痛を分かち合った。

 試合後には涙も浮かべていた。それでも一息入れて、清々しい表情に切り替えて取材エリアに立った。

「チームとしての悔しさもあるし、個人としての悔しさもある。でも日本人でよかったという思いがある。日本人の立場でこの大会に挑めるのがすごく名誉なことだし、チームメートもそうだし、監督もスタッフも日本の国民の皆さんも含めて、日本人で戦えてよかった、日本人で生まれてきて良かったと初めて思った。4年後、またここに戻ってきたい」

 決勝トーナメント進出がかかるドイツ戦、スペイン戦に先発出場し、スペイン戦では決勝ゴールを記録。普段はブンデスリーガ2部でプレーする田中だが、世界的ビッグクラブの選手ばかりが並ぶ相手に大仕事を成し遂げ、歴史的な番狂わせの主役となった。

「強い相手を倒せる立場にいるのが僕ら。それは僕らにしかない特権。幾度となく悔しい経験をして、今回もそうだし、自分は今まで何をやってきたんだろうって思うくらいに悔しいけど、でも僕は素晴らしいチームだったと思うし、素晴らしい国に生まれたなと」。日本代表として戦える喜びを素直な言葉で表現した。

 もっとも同時に世界のレベルの高さを突きつけられる大会ともなった。

「世界との距離は縮まっていると思うし、それは日本だけじゃなく、他のアフリカやアジアも縮まっている。ただベスト8だったり、その舞台に残っているチームはやっぱりちゃんとしたチーム。そこのステージに届くまでの距離はちょっとあった。世界を倒すまでの距離は縮まったかもしれないけど、大会を通してその位置に行くまでの距離は近くなかったなと思う。すごく悔しい」

 刺激と課題を与えられた初めてのワールドカップ。田中は「すごくいい大会だった」と振り返った。

「これだけ熱くなれるんだっていう自分にもびっくりしたし、大会がそうさせたのかもしれないし、チームメートがそうさせたのかもしれないし、スタッフの方々がそうさせてくださったのかもしれない。サッカーっていいなって思う。ただ結果が出ていない以上、全てを肯定することができない。個人としてとてつもなく差があるなと感じるので、いいことも悪いことも全てをこの短い期間で経験させてもらった。今まで自分がサッカーをやってきた時間を、すごく短い時間でよりもっと深く経験した。結果じゃなく、いい大会だったなと思う」

 そして4年後への決意を口にした。「24歳で出られたのは個人的に幸せだった。27歳で次があるので中心でいなきゃいけないだろうし、そこに向かってやるしかない」。そう前を向いた田中は「ここにはバケモノしかいないけど、自分がバケモノになってここに戻ってきたい。そして優勝したい」と言い切った。

(取材・文 竹内達也)
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