beacon

「勝負の分かれ目だった」後半ATのシュートはポスト直撃…涙の熊本MF平川怜「もっと上に行きたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

ロアッソ熊本MF平川怜

[11.13 J1参入プレーオフ決定戦 京都 1-1 熊本 サンガS]

 ゴールポストを叩く音がスタジアムに響いた。勝てばクラブ初のJ1昇格となるロアッソ熊本は1-1で迎えた後半アディショナルタイム、MF平川怜の放ったシュートが惜しくもポストを強打。「打った瞬間にポストに当たったような感覚だった」。昇格を逃し、終了後には涙も流した。

 今夏、FC東京から決意の完全移籍で熊本へ。シーズン終盤に出番を掴むと、11試合連続出場を果たす。J1参入プレーオフでも全3試合でフル出場。22歳の若武者は攻撃を牽引し、J1昇格を目指した。

 大会レギュレーションにより、勝利以外はJ2残留というJ1参入プレーオフ決定戦。しかし、熊本は前半39分に先制を許してしまう。後半23分にDFイヨハ理ヘンリーのゴールで同点に追いついたが、引き分けはJ1昇格には届かない。最後の最後まで熊本は攻め気を失わなかった。

 後半アディショナルタイム、熊本はCKを獲得。GK佐藤優也も含めた全員がゴールを狙った。PA内にボールがこぼれると、いち早く反応したのは平川。「強いシュートで枠に飛ばす。それだけでした」。しかし、右足シュートはFWピーター・ウタカに顔面でブロックされる。再びボールは平川のもとへ。渾身の右足シュートも今度はゴールポストを強打した。

 直後に試合終了のホイッスルが鳴り、熊本の栄光は遠ざかった。「最後の最後にチャンスが転がってきた。そういうあと少しのところが勝負の分かれ目だったのかなと思っています」。

 大木武監督のもとで変化を体感した。「最初のトレーニングから楽しい練習ばかりだった。あっという間でしたけど、充実した日々を過ごせました」。短い間だが、それでも成長を言葉にする。

「大木さんが言っていたとおり、90分間プレーすること、攻守において休まない、サボらない、そういう当たり前のことですけど、できている選手って少ないと思う。そういうのが自分のスタンダードになっていけるように、これからも努力したいです」

 メンタル面でもたしかな変化を感じた。「試合にずっと使ってもらって、多くの勝利も経験できたし、こういう舞台も経験できた。自信を持ってやれていますし、もっともっと上に行きたいという気持ちがさらに強くなりました」。力強く自信という言葉を口にした。

 対戦相手には、2017年U-17W杯でともに戦ったMF福岡慎平がいた。「試合前にも話をしました。お互いこれからだと思う。違うステージになるかもしれないですけど、また上で会えるようにやっていくことが大事だと思います」。来季はまたJ2で再スタート。しかし、平川にとって今季の戦いは大きな収穫となった。

(取材・文 石川祐介)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2022シーズンJリーグ特集ページ
●DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!
●2022J1参入プレーオフ特設ページ

TOP