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今季ここまでJ1出場なし…浦和MFシャルク「もちろん簡単な日々ではなかった」指揮官との対話経て1G1A大爆発

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浦和レッズMFアレックス・シャルク

[3.31 J1第6節 柏 0-3 浦和 三協F柏]

 苦悩の末にようやく迎えた歓喜の瞬間だった。浦和レッズMFアレックス・シャルクは後半27分、左サイドハーフで今季初出場を果たすと、わずか3分後、味方のスルーパスのこぼれ球に反応し、ファーストシュートで今季初ゴールを記録。同37分にはDF明本考浩のスーパーボレーもお膳立てし、1ゴール1アシストの大活躍でチームの4連勝に大きく貢献した。

 後半30分、MF大久保智明のスルーパスはFWブライアン・リンセンを狙ったものだったが、相手DFに当たったボールが目の前に転がってきた。シャルクはGKとの1対1を迎えると、ダイレクトで右足一閃。「簡単とは言わないが、俗に言う“トレーニングゴール”」(シャルク)。文句なしの一撃をゴール左隅に蹴り込んだ。

 ここまでの道のりは厳しいものだった。今季の公式戦出場は8日に行われたルヴァン杯開幕節の湘南戦(△0-0)のみで、J1リーグ戦ではベンチ入りもままならず。選手を一部入れ替えて臨んだルヴァン杯第2節清水戦でも、登録メンバー外の立場に追いやられていた。

 もっともマチェイ・スコルジャ監督は、シャルクを構想外と捉えていたわけではなかったという。試合後の記者会見で指揮官は「ここ2週間くらいは彼の野心を感じた」と目を見張りつつ、清水戦後のエピソードを明かした。

「先週の試合でメンバーに入らなかったことによってかなり落胆していたので話をした。彼には忍耐強くチャンスを待ってほしいと話した。4月、5月は合わせて14試合もあって連戦が続くので、必ずチャンスが訪れるという話をした」

 シャルクにとってもこの対話は大きなものだったようだ。

「選手にとって時折残念な気持ち、一旦落ちたりすることは多少重要だと思う。そこでしっかりと監督、チームメートとコミュニケーションを取り、自分の気持ちを多少吐き出すことによって深いコミュニケーションがお互いに取れることが多い。それはグループとしてのプロセスをどんどん上がっていくためには非常に重要なことだと思う。監督としては毎試合18人しか選べないので、もちろん監督の気持ちを理解しながら、さらにまたそのような部分を見ながらお互いにコミュニケーションを取ることが重要なことだと思っている」

 その先にようやく訪れた歓喜の瞬間。「サッカーというものはクレイジーなもので、このような瞬間のために頑張っていると思う。今日メンバー入りして監督から20分与えられた。その20分の中で、チームにとっても個人的にも完璧なシナリオがあった。この勝ち、ゴールをファンの皆さんと喜ぶ、それがサッカーの魅力。子供の頃からずっとプレーしていた夢がこの瞬間に全て詰まっていると思う」。その言葉どおり、シャルクは真っ先にゴール裏のサポーターのもとに飛び込んでいった。

 後半37分にはペナルティエリア左への侵入から正確なクロスを上げ、明本のスーパーボレーシュートもアシスト。試合後、アウェー席を埋めたサポーターは1ゴール1アシストの大活躍を果たした30歳を大歓声で迎え入れた。

「もちろん簡単な日々ではなかった。メンタル的に強く凛としてキープする必要があった。毎日が簡単ではなかったし、毎日の練習でハードに追い込みながら持続する必要があった。そこでコーチが僕にチャンスをくれた。フットボールは時折シンプルなもので、このように結果が生まれる。個人的なことだけでなく、自分のゴールでチームを助けることができた」

 そう語ったシャルクの表情は晴れやかだった。

 スコルジャ監督が話したように、ここから6月の国際AマッチウィークまではJ1リーグ戦、ルヴァン杯、ACLとの厳しい連戦が続く。「これからは今日掴んだ地位をしっかりと確立できるように挑んでいきたい」。苦悩の日々を乗り越えたシャルクもその中心を担っていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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