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天皇杯の無念から一週間「サポーターのほうが悔しい。下を向いてはダメだ」、広島MF満田誠はCK2本で大逆転劇“演出”

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MF満田誠がCKから逆転劇を演出

[10.22 ルヴァン杯決勝 C大阪1-2広島 国立]

 初優勝決定ゴールをお膳立てした。サンフレッチェ広島は0-1のまま90分間が経過。しかし後半アディショナルタイム6分過ぎにPKで追いつくと、その5分後に再び試合が動く。MF満田誠の右CKがFWピエロス・ソティリウの逆転ゴールを生み出した。

 苦しい一週間だった。16日の天皇杯決勝でヴァンフォーレ甲府に敗戦。満田は逆転のチャンスとなったPKでキッカーを務めたが、まさかの失敗。1-1のままPK戦に入り、無念の準優勝となった。

「一週間しかなくて切り替えるのもすごく大変でした」。あふれだす悔しさを感じながらも、ふと気がついた。「PKを外した自分が悔しいのはもちろんそうなんですけど、自分以外の選手だったり、ファン・サポーターの方々のほうが絶対に悔しい。そこで自分が下を向いていてはだめだなと感じた」。奇しくも再びやってきたカップ戦の決勝。固い決意で試合に臨んだ。

 後半8分、天皇杯決勝と同様にまたしても先制を許した。追いかける展開となったが、後半34分に相手選手が一発レッドで退場処分。隙を突く準備を進めた。「相手も一人少ない状況だったので攻め方も難しさはあった。だけど、シンプルに相手の枚数が少ないので、中にしっかりと放り込んでゴールの形を作っていこうとした」。

 ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェック時間も考慮され、後半アディショナルタイムは9分間与えられた。結実したのは6分過ぎ。満田が蹴った右CKが相手のハンドを誘発。ソティリウがPKで同点ゴールを決めた。

 さらに反撃は終わらない。同点ゴールから5分後の後半アディショナルタイム11分過ぎ。再び満田が右CKを蹴る。「ハンドになったシーンも同じようなところに蹴った。GKも出れていなくて、マークもつけていなかったので、同じようなところに蹴ろうかなと。強いボールを蹴ったらしっかりとフリーで合わせてくれて、得点につながった」。ソティリウのボレーで試合がひっくり返る。逆転劇を演出した満田は、何よりも安堵した。

「一番はホッとしたっていう気持ちがすごく強い。2週連続で決勝を戦うことができて、一週目でタイトルを取れなかった。本当にギリギリまで負けている試合だったんですけど、最後の最後で逆転した。その緊張感から解き放たれて、ホッとしたのかなというのが率直な感想です」

 流通経済大から加入したルーキーは、広島で躍進。今夏には日本代表にも選出された。「自分の実力もあると思うんですけど、チームメイトが支えてくれてこその自分だと思います。どれだけいいボールを上げても、中の選手が決めてくれなければアシストにはならない。本当にチームメイトのおかげ」。頼れる仲間とともに、プロ初年度で大きな成果を手にした。

(取材・文 石川祐介)
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